vol.05 見る触れるオーガニックライフスタイル
フランスの南東に位置するグルノーブルからさらに60kmほど南下したMensという村に、20haの土地でオーガニック農業や水の循環、エコロジー建材の展示などを行っている総合エコロジー生活施設(と仮に呼びます)“Terre Vivante(生きている大地)”があります。昨年に引き続き短い時間でしたが、今年も訪れるチャンスがあったので、少しご紹介いたします。
そもそもは、エコロジーに非常に関心を持った7人のメンバーが、自分たちの知識や経験をもっと多くの人たちと分かち合おうという考えから、「Les Quatre Saisons du jardinage(農業の四季)」と題した、オーガニック農業あるいは環境保全型農業の実践に関する雑誌を発行したところから始まります。やがて、その雑誌だけではなくTerre Vivanteという出版社をおこし、さらに1990年代の始めに公のための、総合エコロジーセンターを作り上げました。このセンターもまた別の方法で、彼らの経験、熱意をより多くの人と分かち合おうという意志の表れです。
園内は様々なパートに分かれており、「野生のバラが広がる原っぱ」「葦をフィルターにして水を浄化する池」「浄化された水で造られた溜池」「エコロジー建材の展示場」「農業用ハウス」「様々な堆肥作りの場所(写真2)」「自然の溜池」「野菜畑(写真3)」「畑仕事人の小屋(雨水利用の設備などいろいろ工夫があります)」「水不使用のトイレ」「ソーラーパネル」「水の循環」「オーガニックレストラン、ブティック」などがあります。もちろんピクニックができる場所があったり、1時間あるいはそれ以上の散歩コース、子どもが遊べる広場などもあります。
野菜畑では、実に様々な品種の野菜が植えられています。同じトマトでも何種類もあり、植物図鑑のようです。堆肥ももちろん自家製。わらもたくさん利用されています。普通フランスでは消費されない日本のシソなんかも植えてありました。中国野菜なども見かけることができます。
水の循環施設には、たくさんのパネルの説明のほか、実際にトイレやシャワーの設備などを見せて、できるだけ水を汚さず、節約して使えるのはどれかを教えてくれたりもします。パネルを見ると、アメリカでは一日に1人あたり578リットル、ヨーロッパで200リットル、アジアで85リットル、アフリカは47リットル使用しているそうです。(家庭レベル)内訳としては、シャワー/洗面がトップで30%、そしてトイレが27%。つまりそれだけで、3分の2近くを消費しているのですね。(写真左下)
水不使用のトイレは、わらを利用して分解し、いずれ肥料になります。想像したよりも匂いなどもほとんどありません。一日に使用する水の3分の1を占めているかと思うと、これもまた考えるべき点ですね。
5月〜10月の間は、時期によって違いがありますが見学可能です。(6月半ば〜9月半ばまでは週1回の定休日を除いて毎日)一日ではなかなか全てをじっくり読んで、見学するのは難しいですが、オーガニックな生活をトータルに見せてくれる面白い施設です。
terre vivante
Domaine de Raud, 38710 Mens
Tel: 33-4-76-34-80-80 Fax: 33-4-76-34-84-02
e-mail: terrevivante@wanadoo.fr