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イタリア:オーガニック市場の目覚ましい発展と新しいユニークな試み

イタリアの小売店でオーガニックブームが起きている。ISMEA/Gfk Euriskoのデータによると、イタリアの大型スーパーチェーン店におけるオーガニック加工食品の売上高は、2014年度最初の5ヶ月間で17%も増加した。Coopの「ヴィヴィ・ベルデ」という環境に配慮したブランドも、さらなる注目を集めている。パドヴァにあるUltimo minuto bioは、食品の無駄をなくすことと、オーガニック製品 を低価格で提供することをコンセプトに立ち上げられた。また、Baule Volante社との連携により、子供たちもオーガニックの食事を楽しむことができる、リミニにあるテーマパーク ”イタリ ア・イン・ミニアテュラ(Italia in Miniatura)”で、オーガニック製品はイタリアにて独自の展開を見せている。イタリアでは、オーガニック農地面積は130万ヘクタール以上に達しており、52000以上の生産者がオーガニック農業に従事している。

Ultimo minuto bio (意味はラスト・ミニッツ=直前)は6月にスタートした。これは、従来のシステムでは商品として扱うことができないオーガニック製品を販売する、というイタリア初のプロジェ クトである。プロジェクトの企画および運営を行ったのは、SEFEAファイナンス協同組合, EcorNaturaSìグループKikometri Zero社である。第1号店となるビエロは、パドヴァ地方グイッツア地区にあり、果物や野菜、ベーカリー、粉類、パスタ、加工トマト、ジュース類、冷凍ビーガン食品、ヨーグルトなどが、市場平均価格の最大70%のディスカウント価格で購入できる。Ultimo minuto bioプロジェクトは、地方内だけでなく、地方を超えた今後の拡大が期待されており、食品の無駄をなくすための具体的な活動をすること、そして経済的な理由でまだオーガニック消費者でない層に対してオーガニック製品を広めることを目指している。

パドヴァにあるUltimo minuto bioプロジェクトの第1号店および、同市内に近々開店予定の第2号店で販売できない製品は、最終的には、周辺の炊き出し所、地域団体やコミュニティに寄付されることになる。尚、様々な公共施設への食料配給は、大学生のボランティアグループの参加によって行われているCoopで買い物をする消費者の環境問題への意識がますます高くなっている。

400以上のオーガニック製品およびその他の持続可能な製品のラインアップを持つ”ヴィヴィ・ヴェルデ”ブランドは、2009年から2013年間の成長率が70%となった。2013年単年度では、売上高は12%も増加している。2014年4月と2013年4月のオーガニック製品と従来品のデータを比較してみると、オーガニックパスタの売上げが55%も増加したのに対し、従来パスタの増加は6%にとどまっていた。同じ期間に、オーガニック牛乳の売上げは従来品の1%増に対し7%の増加、オーガニック卵は従来品の3%増に対し6%増加した。同様に、オーガニックのトマト缶は、従来品の1%増に対し11%増であった。同ブランドの家庭用洗剤と化粧品に関しては、売上げが21%増加したのに対して、従来品は5%売上げが減少した。また、これらの好調な成長とは別にCoopが発表したところでは、再利用が可能なバッグの人気を背景に生分解性ショッピングバッグの売上げが減少、また大容量パック製品の増加がみられた。

イタリア・イン・ミニアテュラ(Italia in Miniatura)は、イタリア国内初の児童を対象としたテーマパークである。昨年度は、60,000人以上の20歳以下の子供たちが訪れた。Baule Volante社との契約により、特に子供向けに開発されたオーガニック食材を使ったイタリア料理を提供しており、同社のグルテンフリー製品ラインのパスタ類、リブ付き肉やチョコレートバーなどが含まれる。イタリア・イン・ミニアテュラでは、提供する食材の品質や食育そして、環境への配慮について重視する傾向をますます強めている。Baule Volante社は、イタリアのオーガニック製品のパイオ ニアであり、EcorNaturaSì グループの系列会社である。同企業は、テーマパークにおいて、子供達にオーガニックについて”楽しく学ぶ機会”を作ることにさらなる可能性を見出している。

イタリアのオーガニックの成長率はまだまだ上昇傾向にある。イタリア自然国際見本市(Sana)で ISMEA(イタリア農業調査研究情報局)が発表したデータによると、2014年最初の5ヶ月間で、大 型販売チェーン店におけるオーガニック加工製品の国内調達高は、金額ベースで17.3%増加したが、同期間の食料品の総消費量は、1.4%減少している。この急成長の背景として、オーガニック製品数の増加と品揃えがより豊かになったこと、セナトーレ・カッペッリ粉を使用したパスタ製品やカムット小麦、エンメル小麦、そば粉を使った新商品などの導入があげられる。現在、オーガニック製品はさらに多くのスーパーマーケットで扱われるようになり、ディスカウントショップで は、新しくプライベートブランド製品が販売され始めている。今年度大きな原動力となったのは、特 にパスタ類、米類、パンの代用品となる食品、砂糖類、コーヒーおよび紅茶製品の売上高の大幅な増加だった。その他の様々な食品群に関しても、2桁の伸びがみられた。

農業用地面積および生産者の数も増加傾向にある。データの予備分析によると、2013年12月末 時点におけるイタリアのオーガニック関連事業従事者は52,383となり、前年度より5.4%増加した。そのうち、生産者が41,513軒、加工業者(小売業者を含む)が6154社だった。また、4456社が生産と加工業の両方を兼ねており、260社は輸入業者だった。イタリア国内における事業者の分布に関しては、オーガニック関連事業従事者数はこれまで同様にシチリア地方が一番多く(8,954)、 カラブリア地方がその後に続く。加工業者数では、エミリア・ロマーニャ地方が最も高い。オーガニック農地面積は、対前年比12.8%の増加に相当する、1317万ヘクタールに達した。オーガニック農地は主に、牧草地、家畜用農作物および穀物類の栽培用農地として使用されている。オリーブ栽培もオーガニック農業の主要農作物の一つである。(出典:イタリア農業省。データはイタリアのオー ガニック業界を管轄する管理機関から提供され、イタリアオーガニック農業情報システム(SINAB) により詳述されている)

翻訳:Yoshiko Waseda

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