イギリス、オーガニック食品の売上げが30%増加
イギリスはドイツ、イタリアに続く第3のオーガニック食品生産国である。
ソイル・アソシエーションは最近のレポートの中で、イギリスのオーガニック食品の売上げは、昨年より30%増加したと発表した。
昨年の売上げは2004年の3倍である。
このような増加は驚異的に見えるが、オーガニックの飲食料品は未だ年間の全市場の1.3%を占めるに過ぎない。この大幅な増加は、なかでも加工食品に含まれる「スダン1」(訳注:Sudan1、合成着色料の一種で発ガンの可能性が指摘されている)汚染をめぐる恐怖や肥満への恐れ、そしてオーガニック・ミルクに関する肯定的な情報によるところが大きい。
あるデンマークの研究がオーガニック・ミルクは栄養価がより高いことを証明したところ、売上げは直ちに10%伸びた。このことによって、健康に関する科学的な調査が売上げに直接結びつくことが初めて示された。
独自ブランドのオーガニック食品を取り揃えるスーパーもまた、オーガニック人気による恩恵を受けた。セインズベリーズのようなスーパーチェーンは、この分野における消費者からの要望を最大限に活用している。
セインズベリーズは、独自のオーガニック・ベーカリー製品を拡充するため、昨年9月に「SO Organic」シリーズを再度立ち上げた。現在はオーガニックのシリアル、クロワッサン、ベーグル他、さらに700以上のオーガニック製品が販売されている。
セインズベリーズのライバル、テスコは約1,200のオーガニック製品を販売しており、その中には9種類のパンや、オーガニックのナッツ類、粉類、クッキー類が含まれている。
ソイル・アソシエーションの食品・農業部長、ヘレン・ブラウニングは、オーガニック製品全体の売上げについて、「驚異的な成長を表す数値であり、英国のオーガニック生産者にとっては明らかに朗報だ」と述べている。
また、スーパーが地元産の商品を増すことによって批判をかわしているのも心強いことである。
市場調査会社のミンテルによれば、オーガニック部門におけるパンやシリアルは2004年までの2年間で、19.1%の伸びを示しているという。
2005年には、900万羽近くのオーガニックな方法で飼育されたトリが食肉用に処理されたが、これは前年比で55%の増加である。
オーガニック・ミルクの売上げは、20億リットルに伸びた。
消費者の層も数も同様に伸びている。調査に応じた人の3分の2が、意識してオーガニック食品を買うという。最低月に一度はオーガニック食品を買う人が40%、最低週に一度の割合で買う人は25%である。
オーガニック食品の購入先は、ほとんどがスーパーや他のチェーン小売店だが、10人に3人はファーマーズ・マーケットから、2人はファーム・ショップからも購入しているという。
オーガニック食品は低所得の人々にとっても求めやすい値段になってきている。
社会的に恵まれない層の人々に質問したところ、回答した人の半分以上が、「時々オーガニック食品を買うことがある」と述べている。
しかしながら、売上げが増加し需要も拡大したことで、国内の農家は存続が危ぶまれている。
スコットランドの丘陵地帯からは農家が離れていったために、完全にオーガニックに転換した農地は減少している。現在、一次産品のうち国産のものは3分の2である。
そのため、低い基準の輸入品が流入し、非オーガニック食品もオーガニックとして販売されてしまうのではないかという懸念が生まれている。
ヘレン・ブラウニングは、供給によって一般市民の支持に応えることが重要であり、さもなければ海外に商品を求めざるをえなくなるだろう、と述べている。
Organic-Market.infoより
http://www.organic-market.info/bio-markt/en_inhalte/inh_index.htm link=Meldungen&catID=0&docID=135
EUOFA翻訳スタッフ:飯田夏代