オーガニック給食では一歩先を行くイタリア
2000年以来、イタリアの学校給食ならびに病院食には、毎日何らかのオーガニック食品を使用することが義務付けられている。法律では、食の安全性や環境保護的な内容には言及していないが、一点明らかなことは、オーガニックや高品質生産の普及促進に確実に力を入れるためだということだ。
あらゆる法律には抜け穴が存在する。各自治体の議会はオーガニック製品を給食に導入する必要があるが、その長が法律違反することに対しては誰も起訴などしないだろうから、ごくわずかの自治体のみが定期的にオーガニック製品を提供している状態で、病院に至っては例外的なケースに限られる。
このように導入している自治体の数が非常に少ないにも関わらず(村レベルまで含む8,100自治体のうちおよそ500)、イタリアの子どもの4分の1以上がオーガニックを食べている。大都市の大部分では法律の効力が長続きしているため、ローマだけでも14万人の児童がオーガニックだけの給食を食べている。
オーガニック農業の発展にとって学校給食が非常に重要だというのは、多くの理由による。学校給食は単に子どもや両親に対し、環境に優しい農業であるということで推進しやすいだけではなく、農家にとって現実的に感謝すべきことなのである。つまり栽培計画が容易になり(ご存知のとおり、食事数は前もって確実な数がわかる)、量もばかにならない。1人の子どもが食べるのはりんご100gにすぎないかもしれないが、14万人になればそれは14トンのりんごであり、1週間では70トンになる。
国の法律に加え、6つの地方ではそれぞれ独自の活動を行ってきた。(6つのうち4つの地方では、自治体への支援を行っており、少なくとも50%あるいは60%補助するものである)
2002年11月に発効したエミリア・ロマーニャ地方の最近の法律は、緑の党の地方議員であるダニエラ・グエッラが強く推進したものだが、それは幼稚園ならびに小学校(3ヶ月〜10歳まで)には100%のオーガニック食、中学・高校、大学、病院では少なくとも35%を義務付けるもので、オーガニック以外の食材についても、伝統的・土地特有の製法で作られているかもしくはIPM(持続可能な農業システム)の認証を受けたものでなくてはならない。現在の契約が切れるに従い、学校給食は徐々に新しい契約に移行されており、2005年までにはこの地方の全ての学校で、計35万人の子どもがオーガニックを口にすることになる。このオーガニックへの取組みは地方政府とともに進んできた。
Proberは、オーガニック生産者・加工業者・取扱い業者からなる地元の団体であるが、学校給食の自校調理と供給能力についての調査を実施し、主なケータリング業者との協力関係を進めてきた。また60の代表的なオーガニック企業がメンバーである団体Consortium-bioは、自治体に対し、オーガニック仕様に適した契約体系を提案している。同団体はまた、イタリアの全8,103に及ぶ自治体の長全てに情報セットを配布し、各自治体の議会向けに、“万歳!学校でオーガニック給食”と題した165万枚のポストカードを郵送した。これには、Esselungaという500製品以上のオーガニックプライベートブランドを擁するトップスーパーマーケットチェーンも協力している。
また、女性向け月刊誌「ナチュラル スタイル」にも約11万枚のカードがはさみこまれ、イタリア全土のPTA向けにも何千枚かが送付された。
Consortium-bioは、新聞や雑誌でも、自治体の長がこの法律を遵守するよう広告で呼びかけている。オーガニック食に関する国ならびに地方の法律は、以下のURLよりダウンロードが可能である。
http://www.consortium-bio.it/
*Prober http://www.prober.it/
*Esselunga http://www.esselunga.it/Generic.asp?IdPage=546
(イタリアのオーガニックコンサルタントであるRoberto Pinton氏より