ナチュラル化粧品市場:中東の展望
ナチュラル化粧品の中東市場は、不安定な政治や社会的混乱にも関わらず、健全な成長を続けている。Organic Monitorが行ったレポートによると、今年は約20 %の増収が見込まれている。地域での混乱により投資や消費者購買力に歯止めがかかっているものの、ナチュラル化粧品の売上は、主要国の市場において急速に伸びている。アラブ首長国連邦のナチュラル化粧品市場は中東地域で最大規模であり、地域全体の収益の半分以上を占めている。
他の国では、需要は主に、リヤド、クウェート、マナーマなどの主要都市に集中している。この調査によると、裕福な消費者や観光客がこの地方のナチュラル化粧品およびオーガニック化粧品の主要な需要を支えている。市場の成長を主に担うのは、ケミカルフリーの化粧品への高まる需要と拡大する流通である。消費者は、化粧品や洗面用品に使われている合成化学物質を懸念し、ナチュラル化粧品を購入しているのだ。商品の販売は薬局、美容関連の小売店、また百貨店まで及んでいる。
しかしながら、高い成長率の一つとして、 もとの市場の規模が小さいことがあげられる。ヨーロッパや北米など、ナチュラル化粧品の市場占有率が3%を超えているところと比べ、中東ではナチュラル製品の市場占有率は0.1%に過ぎない。この地方にはかなり大きな消費者市場があるものの、消費者の認知度が低く、また商品価格が高いことから、ナチュラル製品の普及率は低い。また、地元ブランドが存在せず、ヨーロッパおよびアメリカのブランドが高い市場成長率を作り出している。マーケットリーダーはKorresやNeal’s Yard Remediesで、これはそれぞれの流通戦略に起因している。これら二つのブランドは、コンセプトストアに投資しており、ここで消費者に自社商品に関する情報を与え、既存の化粧品との違いについて学ばせることができるのだ。また、直接販売によりこれらのブランドが顧客との関係を大事に保ち、率直なフィードバックを得られるという。ナチュラル化粧品の中東市場に関するレポートの中で、Organic MonitorはNeal’s Yard Remediesがこの地域で小売りネットワークを拡大し続ければ、市場リーダーになると見ている。
こ の市場調査によると、企業はナチュラル化粧品を消費者に販売促進する際、困難に直面している。ヨーロッパや北米と違い、中近東はオーガニック生産物の市場が小さく、消費者の需要が食料から化粧品に及ぶのを阻んでいる。主なところでは、通常安価で、また巨額の販売促進予算により支えられている 「偽ナチュラルブランド」の熾烈な競争がある。Organic Monitorが中東地域とアジア地域におけるナチュラル化粧品に関する多くの比較を行い、両地域とも美容系の商品の小売り構造にばらつきがあると判断した。ナチュラル部門において普及率が低いのは、消費者が混乱している事、また不適切な流通によるものだ。
そ のような市場の障害を取り除く解決策が、香港にて2011年11月7日8日に行われる予定の「持続可能な化粧品サミット」にて討議されるだろう。このアジア太平洋で開かれるサミットにおいて主な課題となるのは、消費者需要、市場介入、認証、基準、流通計画、また販売促進に関する課題となる。
出典: Organic Monitor
Organic-Market.infoより
(翻訳:ボランティア 越川加奈子さん)