クローン技術を用いた動物性食品の撲滅キャンペーン
「動物のためのユーログループ」(Eurogroup for Animals)はクローン技術を使わない食料(Clone-Free-Food)というキャンペーンを立ち上げ、ヨーロッパの食料生産においてクローン技術の使用をできるだけ早い段階で廃止するよう協力を求める宣言をした。 このキャンペーンは、欧州市民や政治家、企業、特に食料生産業者や小売業者が宣誓書へ署名することにより、彼らがクローン技術に反対との意思表示をさせようとするものだ。
同グループの年次総会において、「Novel Foods directive review」の報告者でもあるカルティカ リオタード欧州議会議員が宣誓書の最初の署名者となり、彼女の問題意識を人々に共有してもらおうとした。
クローン技術は大変な物議を醸しており、倫理的にも、動物福祉的にも、また健康上の理由でも反対が多い。これは多くの動物がクローン技術を行う過程や、妊娠中また出産中に起こる苦痛により死亡する事が原因だ。科学者らは、クローン家畜の大多数が健康上また福祉上の問題をもつとし、死亡確率は性交渉により誕生した家畜よりも圧倒的に高いとする。カルティカ リオタード氏は言う。「ユーロバロメーター(Eurobarometer-1973年から欧州委員会が行っている世論調査分析の結果をまとめた資料)の調査によると、77%がクローン技術を否定しているにも関わらず、欧州の消費者はあずかり知らぬところで、またその意に反して、クローン技術により生産された家畜を使った食物を提供されており、それは侮辱である。 委員会は今すぐヨーロッパ市民の希望を叶えるべく行動し、欧州の動物福祉を守らなくてはならない。我々は、できるだけ多くの人々や組織にこの宣誓書へ署名を促し、クローン技術に関する情報を家族や友人、同僚たちと共有してもらうよう働きかけなくてはならない。」
このキャンペーンは、クローン技術に関する問題意識を高める狙いがあるほか、欧州委員会や欧州理事会に対し、欧州議会議員だけでなく社会全体が、苦痛を経験した家畜を食事としてお皿にのせる事へ反対の意を示していることを伝えようとしている。「クローン家畜を食物として使うのは完全に非倫理的であり、かつ必要のないことだ。我々はこれらの商品をマーケットから追放することが可能であり、国際貿易規定にも合致していると信じている。我々に欠けているのは、消費者を保護し、家畜を守り、本物の解決策を探し出そうとする政治的意思と勇気である。」と動物ユーログループの会長を務めるソニア ヴァン メフェレン氏は述べた。
欧州委員会は新しい法案成立の為の準備にとりかかっている。ユーログループは欧州においてクローン技術を単に禁止するだけでは、クローン技術による精子や胚の輸入を防げず、結果的にクローン技術を海外へ移行させるだけではと危惧する。委員会は、商品の追跡は厄介であろうが、同時に、商品の追跡により商品の表示化を促し、消費者へ責任意識を持たせることに繋がると主張する。
動物ユーログループは欧州連合に所属する国々全てにおける動物福祉組織の代表を務める。1980年の設立から、欧州連合に動物擁護の為のより高度な法律基準を定めるよう促してきた。動物ユーログループは、欧州連合における会員組織を通し世論を代弁し、動物福祉に関し信頼できるアドバイスを提供する為の科学的また技術的専門知識の両方を兼ね備えている。
出典: Eurogroup for Animals
Organic-Market.infoより
(翻訳:ボランティア 越川 加奈子さん)