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持続可能な農業と革新、政策と社会のための機会と挑戦

ドイツベルリンのグリーン・ウィークにて(2005年1月22日)
欧州委員会農業担当委員 フィッシャー=ボーエル氏のスピーチより
(冒頭の挨拶略)
まずは、EUの農業政策の最近の方向性を決定付ける原則をいくつか話したいと思います。


1つめは、農業には食料生産という範囲を超えた、ずっと大きな役割があるということです。ヨーロッパの住民が繰り返し強調して求めてきたのは、ただ単に安全で高品質、適正な価格の製造を保証するだけでなく、お金にかわる価値や(生産から販売の)あらゆる段階における環境保護、動物福祉への配慮を保証する農業政策です。
言い換えれば、ヨーロッパの消費者は、農家の皆さんにおいしい食品を届けると同時に、数々の市場には出回らないものやサービスを求めているということなのです。そして農業に携わる人は、要求される結果は同じでも、そこにかかるコストは世界全体を見ると公平には適用されない世の中、つまり別の社会的要件を犠牲にしてでも、「取引のためには効率優先」という世の中で競争力を持ちつづけつつ、このような消費者の要望も満たしていかねばならないのです。
2つめは、私たちが達成しようとしているのは、持続可能で、経済的にも生き残れる、市場志向の農業をもっと支援していく政策です。EUのCAP(共通農業政策)は、新しい段階に突入しました。すなわち、自然資源を搾取することに集中するのではなく長期的に存続できるようにするというものです。これは、農業の位置付けが食料を食卓にもたらすという以上に、経済的にも社会的にも環境的にも持続可能であるためのものであることを意味するのです。
そして3つめ、ここ数年間にわたるCAPの進展は欧州理事会の結論と一致してきたということです。欧州理事会は、農業分野における自然資源を持続可能な方法で使用しつつ、強力な経済的成果を出すことを要求しています。これは、最近行われたCAPの改正の背後に流れていた考えであり、未来の発展に向けた方向性として位置付けられてきました。CAPの2本の柱は、リスボンとヨーテボリで定められた数々の目的にますます貢献していくことになるでしょう。
(農業における)持続可能とは、次のことを意味します。
 ・自信をもって将来を見通すことができる革新的な農業分野
 ・ヨーロッパの望む農村環境を提供すること
 ・変化に富んだ農業構造の維持(これこそヨーロッパの農村地帯の強さです)
新しいCAPは、EUにおける競争力改善、農業活動の持続可能な発展という観点から、農業部門を大きく前に進める役割を果たします。90年代初頭以来、継続的な改正では、価格を下げることによってEUの農業の競争力を引き上げてきました。2003年のCAP改正により、生産量とは切り離された直接支払い制が導入されました。こうした直接支払い制は、農家が生産量に応じたインセンティブ政策よりも、むしろ市場の要求に応えようとする推進力になっています。
それぞれが整合性のとれた、環境・食の安全・動物の健康と福祉基準が包括されたことで、消費者や納税者といった人々からの信頼が一気に上がりました。
これらの改革の原則は、砂糖のようにこれまで改正から除外されてきたものや、その他ワイン、果物、野菜などさらに変革を必要とされる部門にまで広がっていくことでしょう。
地方(農村地帯)の発展もまた、改正CAPのカギとなる要素の1つでした。そして、ここ数年でどんどん強化されてきています。これは、農業部門の再構築における重要なツールであり、リスボン協定の中でも主要な課題である「競争力」と「雇用」に貢献します。
例えば、地方発展政策は特に投資という手段を通じて、農業や食品加工部門の競争力を増進させることができます。前任者たちは、食の安全に関し、「農場からフォークまで」というアプローチについて話してきました。私はといえば、「農場からフォークまで」というアプローチは競争力と革新についても必要であると考えています。他の部門と同様、研究室を出て、食品産業や農場といった現場でのすばらしい研究開発が必要です。LEADERのような地元の取り組みや、多様化に向けた支援は、ヨーロッパの考えと住人を結びつけ、革新や起業を奨励するのに不可欠な役割を果たすに違いありません。つまり、次のステップに向けた地方発展のための規定は、これまで以上に革新に焦点があてられることになるでしょう。
これらの要素はすべて、地方発展に関する新しい欧州戦略書にまとめられ、拡充されることになります。これにより、地方発展とリスボン協定が結び付けられ、農村地域における競争力、雇用創出、革新へのさらに戦略的なアプローチに向けた基礎が築かれるのです。それは将来に向けた投資を、農業部門や誰もが得をする環境的なサービスを供給したり、また多様化を通じて、雇用創出への見通しを高めるような新しい方法へと集中させることになるでしょう。
例えば、新しい教育訓練や投資の手段は、農場での効率を高めたり、製品の新しい販路を開く助けとなるでしょう。また同時に、資源をもっと持続可能な形で使用したり、再生可能エネルギーの開発を進めることにもなるでしょう。地元の公共サービスやインフラの改良、例えば村や子どもの世話にITを導入することは、周囲と隔絶された農村地域に住む人々にとって、雇用や教育の機会と道筋を提供することになり、多くの新しい扉を開くことになるのです。
革新と研究は、もちろんこれらすべての中で重要な役割を占めています。研究機関と大学は、持続可能かつ経済的にも生き残れる新しい農業のやり方を開発するという点で、なくてはならない役割を果たしていますし、革新は多くの方法で、農村地域がよりよく発展していく決定打となることでしょう。
だからこそ、「革新」というのは、EUの将来の農業と地方発展政策を活気づけるキーワードなのです。これは既に現在進んでいる第6次枠組みプログラムのもとで、かなり全体的にカバーされています。このプログラムは、「食品の品質と安全」「持続可能な発展、全体的な変化と生態系システム」という2つの優先課題のもと進められています。(後半略)
※このスピーチの全文

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