EU、オーガニック生産・販売最新情報レポート発行
欧州委員会農業・地方発展部局は2005年11月付けで、EUのオーガニック農業の最新状況をまとめたレポートを発表した。内容はオーガニックと転換中の農地面積、農家数、地域や国別・作物別に見た生産状況、畜産品状況、流通経路、オーガニック製品売上、価格、オーガニック以外の製品との比較、そして農業・環境政策プログラムのオーガニック農業支援状況について。
それによると、2003年末段階での世界のオーガニック耕地面積はおよそ2650万ヘクタール。ヨーロッパは630万ヘクタールで全体の23.2%を占める(ちなみにアジアは2.7%、1位のオセアニアは1130万ヘクタールで全体の43.2%)。EU25カ国で見ると、認証されたオーガニックならびに転換中の面積は570万ヘクタールで、全農地面積の3.6%。EU15カ国(新規加盟の10カ国を除く)では、1993年の70万ヘクタールから2003年には510万ヘクタールになり、全体のほぼ4%になる。
農家数は、EU25カ国で149,000軒で、全農家数の1.4%。15カ国に限ると1993年当時の29,000軒から2003年には 140,000軒になり、2%を超えている。とうはいうものの、農家数のピークは2001年時点の
143,000軒で、その後少し減少を見せている。
EU15カ国の510万ヘクタールのうち、およそ310万ヘクタールが草地ならびに家畜飼料用の草栽培に使用されている。続いて130万ヘクタールが食用作物、40万ヘクタールが園芸作物、その他30万ヘクタールという構成になっている。食用作物のうちもっとも重要なのが穀類で、全体の70%を占める。310万ヘクタールの草地は、そのうちの約20%が英国に位置し、続いてイタリア、スペイン、ドイツ、フランス、オーストリア、ギリシャとなっている。
畜産については、EU15カ国で280万以上の飼育数で、全家畜数の2.5%を占める。イタリア、スウェーデン、ドイツが特に盛んで、それを追うのが英国、フランスといったところ。新加盟の10カ国は、まだオーガニック畜産の割合は非常に低いが、チェコ共和国とハンガリーは数が伸びている。乳牛については、2003年の数字は1998年時点に比べると70%増となっているが、2000年時と比較すると12%減。英国、ドイツは全体の19%がオーガニック乳牛という高い率を示している。
小売について。2004年EUのオーガニック製品市場はおよそ110億ユーロ。
オーガニック国内市場がもっとも大きいのがドイツで35億ユーロ、EU全体の約30%を占める。その他市場が10億ユーロを超えている国は、英国(16億ユーロ)、イタリア(14億ユーロ)、フランス(12億ユーロ)。
流通経路としては、国によって違いがある。ベルギー、ドイツ、ギリシャ、フランス、ルクセンブルク、イタリア、オランダ、スペインでは、オーガニック食品は直接販売や専門店ルートで販売されることが多い。とはいえ、1998年時点と比較するとスーパーマーケットなどの販売も大いに増えている。一方、デンマーク、フィンランド、スウェーデン、英国、ハンガリ ー、チェコ共和国では、オーガニック製品売上の60%以上がスーパーマーケット、ならびに非専門店経由である。
ここ数年、ヨーロッパでのオーガニック製品市場は大きな成長を遂げており、1999年〜2002年の売上伸び率は、フランスとイギリスでは年平均40%以上だった。ついで、イタリア、オランダが年平均20〜30%。
価格については、一番データ収集が難しい分野だったが、一般にオーガニック製品はそうでない製品よりも高価格である。しかし、国によっても製品によっても非常にまちまちである。代表的な作物について調べた結果、例えばミルク、卵、じゃがいもなどは、オーガニック製品とそうでない製品のとの市場価格の違いは、農家の出荷価格の違いよりも小さい。反対に、小麦、りんご、豚肉、牛肉については、市場価格の格差の方が大きい。一般に、オーガニック製品とそうでない製品との価格差は、一般に南ヨーロッパの比較的オーガニック市場がまだ小さい国の方が大きい。
2003年、EU15カ国における全オーガニック農地面積のほぼ半分、全オーガニック農家の64%が、農業環境政策プログラムによって援助を受けた。
※レポート全文はこちらから(英語)
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