vol.06 農家で暮らす休日
ヨーロッパのオーガニック農場では、レストランや民宿を併設したところがたくさんあります。野菜・果物農家、畜産農家、ワインやオリーブと農家のジャンルを問わず、あちこちの地方で見つけることができます。そして今、長期休暇をこうした農家に滞在して過ごすヨーロッパの消費者はどんどん増えてきました。特別のガイドブックもあちこちで出ており、オーガニック農家に限定したものも見つけることができます。
このような農家が増えていること、そしてそこにやってくる人が増えている要因としては様々なことが考えられますが、いずれにしても生産者と消費者が直接会って、一緒に食事をしたり、寝泊りして交流できるすばらしい機会の1つであることは確実です。
滞在する側にとっては、まずはそこの農場の産物を存分に味わうことができる、生産物がどのように作られているかを目にすることができる、いろいろな作業を手伝うことで体験ができる、周りの自然環境を含め、人間と大地・動植物・水や空気までのつながりを感じることができるetc.などのメリットがあります。
また農家側にとっては、自分の作った物を味わってもらうことができる、生産現場を見てもらえる、消費者側がどのように考えているか・どんな基準で物を選んでいるかを知ることができる、自分たちの思いを伝えることができる、直接的な経済効果がある(現金収入となる)などの利点が考えられます。
例えば私は毎年オーガニック農家数件を巡っていますが、そこを訪れて、一緒に作業をさせてもらったり、いろいろな話をすることでわかること、感じることがたくさんあります。だからこそ止められず、毎年続いているともいえるのですが。
オーガニック農家を訪れることで見えてくるもの、それは人と人とのつながり、人と大地のつながり、自然は何1つとして同じ物を作り出さない=全てのものがユニークである、ということでしょうか。効率という言葉であらゆるつながりが切断され、自分のことも他人のことも信じることができなくなっている現在の世の中だからこそ、こうした存在が求められてきているのでしょう。