地方別イタリアのオーガニック事情
AIAB(イタリアオーガニック農業協会)は、5月17日「Bioregione2006」の結果を公表した。Bioregioneは、イタリアで最初のオーガニック分類である。これらの調査と発表の目的は、イタリアの各地方におけるオーガニック事情について、長 所・短所の両面を見せて、細かなところまで知らせることにある。
この調査の結果をまとめるための構成要素は、その地 域内のオーガニック農地の面積(25%)、オーガニック農業関連企業の数(20%)、生産者数(20%)、輸入者数(6%) 、学校のオーガニックカフェテリアの数(7%)、GMフリー*共同体の数(3%)、アグリトゥーリズム施設の数(2%)、DOP ・IGP製品*の数(2%)、市場やお祭り・フェア(1%)、発展させるための政策と情報キャンペーン(7%)、商業化支援(7 %)となっている。
イタリアの全農地のうち、オーガニック農地の占める割合は7〜8%である。オーガニック農地は、島や中部・南部に主に見られる。サルデーニャ島を筆頭に(島内の全農地のうち18.96%がオーガニック農地)、シチリア島(14.70%)、トス カーナ州(9.88%)、ラツィオ州(9.28%)、マルケ州(9.14%)、カラブリア州(9.12%)と続く。もっとも割合が低いのが、ヴェネト州(2.10%)、フリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州(1.28%)である。
しかしながら、オーガニック関連企業が集まっているのは、北部・中部である。イタリアの農業関連企業全体のうちオーガニックの占める割合は約2%。エミリア・ロマーニャ州は全農業関連企業105,889軒のうち、オーガニック基準に則って営業している企業が4,026軒で割合としては3.80%である。それに続くのがマルケ州で3.35%。
冒頭で説明した、すべての要素を計算した結果、8.32ポイントを獲得したエミリア・ロマーニャ州が第一位となった。つ づいてトスカーナ州8.01、マルケ州 6.86、ウンブリア州6.76、トレンティーノ=アルト・アディジェ州6.46、ロンバルディア州 6.11という結果だった。ワーストはカンパニア州の2.18ポイント。ワースト2がフリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州の2.93 だった。
イタリアはオーガニック生産ではヨーロッパ1であるものの、各地方の政治家間の協力体制のもと、戦略的な計画や発展のための特別な政策がさらに必要であると言えそうだ。
*GMフリー:遺伝子組換え作物の栽培、取扱いなど一切を行わないこと。GMフリー共同体という場合は、それを州や村、自治体・共同体の範囲で宣言をすること。ヨーロッパでは、欧州委員会は遺伝子組換え作物とオーガニック作物、従来農業作物との共存を唱えたが、それに対抗して、共同体レベルで宣言するところが続々と登場している。
*DOP、IGP製品:DOP=Denomination of Protected Origin(原材料の調達から加工にいたるまで、定められた土地のものだけを使用しているとEUから認証されていること)、IGP=Protected Geographical Indication(DOPと同様の認証の仕組みだが、こちらは生産の少なくとも1つの段階がその限定された土地で行われていることが条件となる)。いずれも、伝統的に作られてきた土地固有の食品を守り、盛り立てていくための認証の仕組み。
Bioagriculturanotizie、Organic-Market.infoより