拡大EUのオーガニック耕地面積は550万ヘクタール以上
英国のウェールズ大学農学研究所が発表した最新の数字によれば、2002年末段階で、EU25カ国のオーガニックとみなされている面積は550万ヘクタール以上、それに従事する農家は16万軒以上となった。この数字は、EU全体の農地面積のほぼ3.4%、農家数の1.7%を占める。前年と比較すると、25カ国で9%の伸びを示した。これは、主にフランス、スペイン、英国で著しく成長したことが原因となっている。
ドイツベルリンにて行われた会議では、オーガニックに関するデータ収集と加工の問題、改良の可能性について討議が行われた。関連当局は、オーガニック農業についての統計的なデータを収集/加工することに非常に高い関心を示すようになってきたが、国レベルとEUレベルでのデータ収集については、明らかに調整の必要がある。この会議は、欧州委員会が資金拠出しているEISFOM(オーガニック市場のためのヨーロッパ情報システム)のプロジェクトとして開催された。
会には、欧州委員会、ユーロスタット(欧州委員会統計局)、FAO(国連食糧農業機関)、IFOAM(国際有機農業運動連盟)、統計関連会社、関連当局等の代表や、研究者、その他オーガニック分野に関わる様々な立場の人々を含め、100人以上が出席した。
プロジェクトリーダーのニコラ・ランプキン博士は次のように述べた。
「オーガニック農業が著しく発展していることを、私たちが調査した数字でもって実証できて大変満足している。しかし、数字の収集には注意した。というのも、これは長い間、国ごとにオーガニックに携わる民間の努力に頼るしかなかったのだ。データ収集方法の調整と、品質保証の必要性がある。」
セミナーでは、次のことが確認された。EU規定2092/91(オーガニック農業に関するEU規定)に関するデータ収集方法については、農場構成調査や農場会計データネットワーク、その他マーケットデータ収集といった現存のデータ収集システムがあるが、大体において国レベルとEUレベルでの調整がとれていない。とはいうものの、関連当局と統計センターとが協力するというすばらしい例もあった。(ポーランド、デンマーク、フィンランド、フランス)
EUレベルでは、ユーロスタットによって実施されたEU農場構成調査(2000年、2003年)に、現在ではオーガニック農業に関する大量の情報によって構成されているオーガニック農業データも含まれていることが、セミナーで明らかにされた。欧州委員会の農業総局は、先ごろオーガニック農業情報システムデータベースも構築し、それを通じて、この件に関する管理データが加盟各国より配信される。情報の中には、一般公開されるものもあるだろう。これらの管理データは史料とともに、ユーロスタットのホームページ上で、2004年末をめどに利用可能になる予定。
セミナーでは、取引や小売、消費者レベルのデータの利用にまつわる問題についても検討された。すなわち、現在利用可能なデータはあまり多くはなく、例えば小売市場データなど、まさに必要とされるデータは、生産に関するデータに比べ信頼性が低いという問題だ。官民双方の協力体制も含め、この点についてはさらなる努力が必要とされる。
結論としては、特に、EU規定2092/91にもとづく詳細な報告が義務付けられたこと、また現存するデータ収集システムとオーガニックに関するデータの連携・調整、ならびにデータへのアクセス方法の改善が必須であることが挙げられる。会議において発表された中でも特に革新的なケーススタディについては、それを広く適用するために、そこから何が学べるかということがさらに検討される。
次回のEISFOMセミナーは、2005年10月、ブリュッセルにて開かれる。そこでは、オーガニック市場のためのヨーロッパ情報システムに向けた枠組みが定義されることになる。詳細は、EISFOMのホームページにて。
会議の経緯は、配布資料、討議結果、結論を含め、今回のプロジェクトパートナーでもあるスイスのオーガニック農業研究機関FiBLが編集/発行予定である。会議の経緯は、このプロジェクトのホームページならびにデータベース“Organic Eprints”でも入手可能になる予定。
※EISFOMホームページ
http://www.eisfom.org
※ユーロスタットホームページ
http://europa.eu.int/comm/eurostat/
※オーガニック農業情報システム(OFIS)データベース
http://europa.eu.int/comm/agriculture/qual/organic/data/index_en.htm
※データベース“Organic Eprints”
http://www.orgprints.org
※ウェールズ大学農学研究所
http://www.organic.aber.ac.uk/
==================================
EUOFAでも、この記事の前半に書かれていたとおり、各国が出す数字を資料として発表してきました。今後については、EU側の整理・データベース化ができ次第、皆さまにお知らせする際は、その数字を使用していきたいと思います。よってこれまでの発表と今後の数字に食い違いが生じることがありますが、このような事情によりますので何卒ご理解くださいますようお願い致します。