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田園の将来のために種をまく(EU田園発展政策について)

2003年11月12〜14日にかけてオーストリアはザルツブルグで、アジェンダ2000以来導入されているEU田園発展政策を評価し、将来必要になる内容について検討するため、田園発展に関するEU会議が開催された。そこには、EUの田園地域の経済的・環境的・社会的な発展が、確実に持続可能であることに関わりをもつ活動を行っている様々な方面の関係者が集まった。

以下は、将来の田園発展政策のガイドとなる原則である。
1.生き生きとした田園というのは、単に地方社会にのみ利益をもたらすのではなく、社会全体にとって関心の高いものである。広範囲にわたる地方経済や地方社会への投資は、田園地域の魅力を増幅し、持続的な成長を促し、特に女性や若者にとって新しい雇用の機会をもたらすためになくてはならないものである。これは、異なった地域においてはそれぞれ特別の必要性に基くべきであり、また地元の田園地域やコミュニティのもつ、あらゆる可能性に基いて組み立てられるべきである。農業活動が活気ある田園に必要不可欠であるように、活気のある田園もまた農場にとってなくてはならないものである。
2.ヨーロッパの田園に広がる多様性を保存していくこと、多機能農業がもたらす機能を促進することは、これまで以上に重要性が増している。農場環境・森林を保持していくことにより、自然の景観、またヨーロッパの様々な文化遺産、とりわけ人里離れた地域においては、その自然としての価値が非常に高い領域を保持し、さらに良い状態にするのに役立つであろう。
3.農業部門に競争力をつけるということは、様々な田園地域における多様な農業の可能性を鑑みても、主な狙いの1つとなる。これは特に新加盟各国において重要である。というのも、これらの国々ではさらなる有効な農業の再構築が期待されているからである。全ての加盟国においても、農業部門の持続的な経済成長は、多様性、革新、そして消費者が望む付加価値のある製品を通じて増えていくはずである。
4.田園発展政策は、農家ならびにその他の田園地域で活躍する人々が、継続して行われている農業部門の再構築への挑戦、改正CAPの効果享受、そして従来の農業取引のパターン変更などを可能にするためにも、拡大EUにおけるあらゆる田園地域において適用されるべきである。
5.田園発展政策は、田園地方における広範囲な社会の必要性に応え、つながりや団結に寄与するものでなくてはならない。広がる田園のコミュニティを強化することにより、田園に関わる全ての人が求める田園地域の持続的な発展が促されることだろう。
6.田園発展政策は、公そして民間の組織、また市民社会3者のパートナーシップにおいて、補助金の原則に基づき、導入されなくてはならない。地元や地域の要望に効果的に対応するためには、プログラムの策定や後続の計画の導入、監督・評価などにおいて、全関係者による十分な対話が必要とされる。将来の政策により、田園地域に向けたEUの補助を主流にしなくてはならない。それには、LEADER(訳注:田園地域で活躍する人々を育成するためのEUが補助を出すプログラム)の利用により、習得された経験や智恵に基づいた、地元からのボトムアップ型のパートナーシップが必要とされる。
7.明確に定義された目的と成果に基づいた、総合的な戦略を策定し、実行するためのパートナーシップを作り上げるためには、さらなる責任が必要とされる。それには、監督・評価を通じて、これまで以上の透明性とアカウンタビリティ(説明責任)が要求されるだろう。この点について、能力開発は不可欠である。さらにパートナーシップは、ネットワークや実践してみて良かった内容の交換などを通じて、お互いがよりよく学ぶ可能性を広げるのに必ず役立つ。
8.現在複雑なEU田園発展政策を簡略化することは、必要かつ緊急の課題である。田園発展の必要性に沿った、1つの計画、資金援助、検査システムに基づいて実施が行われるべきである。

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