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オーガニックレポート:オーストラリアのオーガニック事情2

引き続き、オーストラリアのオーガニック事情をお伝えします。今回は、大手スーパーマーケット以外でオーガニック商品を購入できる場所についてです。具体的には、オーガニックストア、マーケット、ファーマーズマーケット、エコパークの他、自宅にいながら買い物ができる、ホームデリバリーやオンラインショッピングなどについて、また、メルボルンの業者、お店が買い付けのために訪れる青果と花の卸売市場についてお話しします。

最近、新規開店のオーガニックストアを見かけます。メルボルンの老舗オーガニックストアOrganic Wholefoodsを経営するScott Kinnear氏は、「事業を始めた22年前、メルボルン市内のオーガニックストアは3軒のみで、お客さんと言えば、環境主義者や少しクレイジーな人しかいなかったよ。」と語ります。現在、メルボルン市内にあるオーガニックストアは70軒を超え、オーガニックストアを利用する客層も幅広くなったそうです。オーガニックストアは、生鮮食品から日用品まで一通り揃っているお店、食品だけ取扱うお店、また、生鮮食品のないヘルスショップ的なお店があり、店舗によって取扱い範囲が異なります。

 

オーガニックストアは、地方でも珍しい存在ではなくなってきました。世界遺産のウルル(エアーズローック)に向かうツアーのゲートウェイであるアリススプリングスでも、オーガニックストアを発見しました。その名もAfghan Traders。砂漠地帯の辺ぴな地域のコミュニティにも毎週デリバリーを行っているそうです。

 

日系スーパーマーケットのフジマートにも、オーガニックコーナーを設けています。

週に3、4日定期的に開かれるマーケットは、オーガニック専門のものはまだ存在しませんが、どのマーケットにも必ずオーガニック専門店があります。

例えば、メルボルン最古のマーケットであるプラーンマーケット(Prahran Market)は、オーガニック専門店としては精肉店1軒、食料品店1軒しかないのですが、オーガニック商品を取扱うお店が多いので、オーガニック度が充実しているマーケットとされています。オーガニック専門の食料品店Ripeは、オーガニック需要が次第に高まっているのか、お昼過ぎでは若干品薄という印象を受けるほどです。

マーケットの魅力は、新鮮な食品を手に入れることだけではありません。プラーンマーケットはどちらかという原始的な作りなのですが、先日、それにもエコな理由があることを知りました。

これは、プラーンマーケットのサステナビリティプロジェクトの一つです。地元ストニントン地区とプラーンマーケットが、ビクトリア州政府と連携し、マーケットでの水の使用量を押さえる取り組みをしています。マーケットの床下に雨水を7万リットル貯蔵し、掃除やトイレで利用しているそうです。その他にも、廃棄物の再利用や食料品の寄付など、マーケットとしてのサステナビリティプロジェクトが満載です。大手スーパーマーケットの壮大なプロジェクトも結構ですが、身近な施設による草の根的な取り組みこそがお客さん一人一人に良い影響を与えるのだと思います。

 

マーケットは基本的に屋内で行われるものですが、毎月決まった週末に開かれる屋外市場というものもあります。ファーマーズマーケットと呼ばれるこの屋外市場は、通常1ヶ月に1度行われるもので、農家やメーカーが直接販売をする貴重な場所です。広場では子供向けに音楽を演奏するなどの出し物もあったり、天気の良い日は単に日光浴を楽しむ人もいたり、ととってもリラックスできる雰囲気です。

特に私のオススメは、チルドレンズファームで行われるファーマーズマーケットで、牛や羊、ヤギ、ニワトリ、馬などがいる場所で動物を見たり、レンタル農園を覗いたり、隣接するカフェやレストランで食事をしたり、と買い物以外にも十分楽しめます。毎月第4土曜日には、2006年から始まったスローフードマーケットというものもあるのですが、他のファーマーズマーケットと出展者にあまり違いはない様子で、正直なところ、スローフードに関してはまだまだ発展途上の段階かな、とも思います。

 

毎週末どこかで行われているファーマーズマーケットですが、ビクトリア州のファーマーズマーケット協会によるニュースレターにより、うっかり開催日時や場所を間違えてしまうということもありません。このニュースレターは、新しいファーマーズマーケット、旬の野菜や果物、レシピ、映画試写会のお知らせまで入った充実した内容です。

 

オーガニック商品を購入することの大切さを改めて知らしめてくれる場所、それがエコパークです。メルボルン北部に4.5ヘクタールの敷地を持つCERES(Centre for Education and Research in Environmental Strategies)は、オーガニックファーム、マーケット、カフェ、レストラン、オーガニックストア、ガーデニングショップなどをもつ複合施設で、環境教育と調査を目的とした非営利団体です。環境問題やサステナビリティに関する会議やイベント、ワークショップ等を頻繁に行い、地域住民や小学校などの教育機関も積極的に参加しています。

CERESでは、毎週水曜、金曜、土曜にオーガニックマーケットを開催しローカルな農産物を販売、中には敷地内で取れた野菜や果物も売られています。常設のオーガニックストアでは、食料品の他、化粧品や洗剤など生活必需品が環境に優しいものだけセレクトされています。レストランのメニューはもちろんすべてオーガニックで、オーガニックレストランの数が実はまだ少ないメルボルンでは貴重な存在です。ガーデニングショップでは、オーガニックの苗やオーストラリア先住民アボリジニが数千年前から薬草として使うブッシュフードの苗も数多く取り揃えています。CERESは、オーガニック商品の販売を環境問題やサステナビリティの活動の一環として行っていたり、インドやインドネシアなど海外だけでなく、オーストラリアの先住民が所有するアーンへムへの研修旅行を通し、異文化と向き合う機会を作ったり、と総合的に地球の未来について考える理想的な施設だと思います。

オーストラリアでは、ホームデリバリーやオンラインショップが盛んですが、オーガニック商品も例外ではありません。CERESの他、オーガニックストアの多くがオンライン販売、ホームデリバリーをやっていますし、オーガニックワイン専門のオンラインワインショップもあります。「オーストラリア オーガニックマーケットレポート 2010」によると、オーストラリアでは、オーガニック商品の総売上高の5%強をオンライン販売、ホームデリバリーが占めているそうです。

 

メルボルンでは、農家との直接契約や自家菜園をもつ場合を除き、大型スーパーマーケットから小売店、オンライン販売店までの多くが、メルボルン港近くのMelbourne Wholesale Fruit, Vegetable and Flower Marketという卸売市場で仕入れをします。日本で言うまさに「市場」です。日本でオーストラリアには生産物を一括して販売する農協のような組織がないので、卸売市場は、法人登録がされた会社であれば、利用料を支払うことで売買ともに利用可能です。この卸売市場には約140軒のお店がありましたが、オーガニック専門店は5軒のみでした。ただ、その他のテナントの中にもオーガニック商品の取扱いをする店舗があるそうです。

次回は、オーガニック関係のフェスティバルについてご紹介します。

 

参考資料

Melbourne Wholesale Fruit, Vegetable & Flower Market Business Directory 2011/12,  Melbourne Market Authority, 2011

 

Organic Victoria, Clean Food Organic, 2011

 

Australian-Organic Market Report 2010, the Organic Research Group, School of Environmental and Rural Science, University of New England (UNE), Armidale, NSW, Australia and Mobium Group, Melbourne, Australia, 2010

(作者:越川 加奈子さん  在オーストラリア)

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