オーガニックレポート:インドのオーガニック事情その1
「インドでもオーガニックなものを手に入れたい!」と意気込んで旅立ちましたが、水事情も悪い土地にはやはり無謀な願いでした。ただ、オーガニックな動きは感じとれました。インドでは今年の7月にオーガニック農業の国際的な組織であるInternational Competence Centre for Organic Agriculture in India (ICCOA)が、オーガニック農業における新しい認定プログラムを導入したところです(EUOFA記事 「インド: ICCOA、オーガニック農業の認定プログラムを導入」より)。本格的な広まりはまだまだかもしれませんが、それでも無理矢理見つけた(!?)インドのオーガニックなものをまとめてみました。今回は、レストラン、食品、スーパーマーケットと農場、化粧品についてレポートします。
レストラン
オーガニック部門の成長率は年々上昇を続けていると報道があるものの、インド国内でオーガニックレストランやカフェはほとんど見受けませんでした。実際は、まだオーガニックが浸透していない様子で、オーガニック食品は主に外国人観光客や現地在住の外国人向け、という印象を受けました。
オームカフェ(ヴァラナシ)
ヒンドゥー教の聖地ヴァラナシにあるオーガニックカフェ。お客さんはほぼ全員外国人で、最新のロンリープラネットにも掲載されるそうです。ガンジス川のTulsi Ghatにあるので、ガンジス川観光の際は便利です。インド在住20年以上のアメリカ人女性とインド人男性が共同経営しており、実際はそのインド人男性と奥様が週6日お店を仕切っています。オーガニックな製品は紅茶とお料理に使うスパイスのみ、と聞いて正直少しがっかりしてしまいましたが、インドの食料事情を考えれば仕方がないのかもしれません。食材や食器を洗う際は、フィルターされたお水を使っている、と聞くだけでも安心感が湧きます。インド特有のゆったりとした空気が流れていて、リラックスできました。
Aum Cafe
住所:B1/201 Assi Ghat, Varanasi, India 221005 UP India
営業日:火曜から土曜、朝7時から午後5時半まで
取扱い:コーヒー、紅茶、ソフトドリンク、簡単な食事、デザート
Face book:http://www.facebook.com/pages/Aum-Cafe-India/131288511320
ナヴダンヤ スローフードカフェ(ニューデリー)
インドの有名な環境活動家であるヴァンダナ・シヴァさんが代表するナヴダンヤ(Navdanya)は、種子保存、生物多様性の維持を目的とした活動、遺伝子組み換え作物への反対活動、環境保護のほか女性の人権保護にも力を入れる活発な組織です。ニューデリー南部の民芸品市場ディッリーハットやハウスカズヴィレッジには、オーガニック食品を取り扱うお店にスローフードカフェが併設されています。
Navdanya Slow Food Cafe (The), New Delhi
Dilli Haat店
電話 : +91-11-6434306
Hauz Khas店
Between Aurobindo Marg and Khel Gaon Marg, New Delhi, India 110016
D-26, Hauz Khas Market
電話: + 91-11-26854069
ジャーマンベイクショップ(ニューデリー)
2008年開店のドイツパンを専門にしたパン屋さんです。材料はオーガニックかナチュラルなものだけ使い、パンやケーキ、ミューズリーなどを販売しています。今後はオーガニック野菜や果物も販売予定。ニューデリー市内ではありますが中心からは離れているので、在住者向けかもしれません。ホームデリバリーも可能で、ニューデリー南部であれば翌日、ニューデリーのその他の地域、又は、ニューデリー近郊なら週二回のペースでホームデリバリーを行っています。
German Bakeshop
33 B 9/9 Kishan Garh, Main Road,
Vasant Kunj, New Delhi
電話: +91 11 6462 0222
携帯: +91 99718 83225
メール: order@german-bakeshop.com
食品
紅茶はインドを代表する食品というだけあり、オーガニック商品が結構豊富に見られました。
トゥルスィー ティー
インド中で特によく見かけたのはOrganic India社のTulsi Teaというシリーズ。経営陣に外国人が多い関係もあるのか、こちらの製品は、オーストラリアのオーガニック食品店でも販売されているのでよく知っていました。Organic India社はオーガニックサプリメントにも力を入れており、インドでほぼヴィーガンだった私は、カルシウム不足を乗り切るべく同社のカルシウムのサプリメントを欠かさず取っていました。また、スパイスや体内浄化作用のあるシロップ入りジュース、豆類などのオーガニック製品も生産販売しています。
Tulsi Tea by Organic India
http://www.organicindia.co.in/organic-india-tulsi-teas.php
マカイバリ
フェアートレードを基本とし、オーガニック・ダージリン紅茶を生産する茶園。バイオダイナミック農法を使った茶葉は、数々の品評会で認められる最高級の紅茶とされています。地元社会との結びつきや環境保護を大事にした経営方針と活発な社会活動、また人間的な魅力がたまらない経営者にも注目です(マカイバリ社では経営者をあえて「茶園主」と呼んでいます。ダージリンで経営者が茶園に住む唯一の会社だそうです。)ニューデリーのHISでは、ダージリンにあるマカイバリ茶園の茶畑見学のオプショナルツアーを企画していました。世界各地の大学や環境保護団体との研究や共同企画のプロジェクトを多く行っており、オーガニック業界をリードする頼もしい存在の企業だと思いました。マカイバリジャパンのニューデリー駐在員、石井さんのブログは、情報満載でとても面白いです。
マカイバリ社の紅茶は、ニューデリー市内では日本食スーパーマーケット「大和屋」のみの販売です。日本にはアジア、日本総代理店があり、オンラインでも購入可能です。そして、ハーゲンダッツ社からは、現在、季節限定でマカイバリ社の紅茶を使ったアイスクリーム「ダージリン」がオンラインで販売されています。マカイバリ茶園の紅茶は日本の有名レストラン等でも使用されています(例:オテル ドゥ ミクニ)。
Makaibari(本社)
http://makaibari.com/
Makaibari Japan(アジア日本総代理店、ブログへのリンクもあり)
http://www.makaibari.co.jp/
ハーゲンダッツの数量限定販売アイスクリーム「ダージリンオータムナル」
http://www.haagen-dazs.co.jp/campaign/darjeeling/
三國グループのオンラインカタログ「メゾン ミクニ」で販売しているマカイバリ茶園の紅茶
http://www.oui-mikuni.co.jp/maisonmikuni/goods.html
スーパーマーケットと農場
果物や野菜を生では食べられないインド。その理由は、第一に水事情、第二に農薬の使用が挙げられます。スーパーマーケットの野菜売り場に必ずと言っていい程、べジウォッシュ(野菜用洗剤)が売られているのも納得です。家庭でもよーく洗った野菜をよーく調理して食べるのが普通だとか。インドの慣行農業では、農薬の多用により農薬が効かなくなり、更なる農薬の導入に金銭的な問題を抱えた農家の中には毎年1000人もの自殺者が出ているそうです。健康への配慮の他、この農薬をとりまく悲劇ともいえる背景からも、近年オーガニック農業が注目されるようになりました。スーパーマーケットでも、少しずつではありますが、オーガニック食品が手に入る様になってきたようです。インドで全国展開しているスーパーマーケットチェーン「Spencer’s」では、インド南部の限られた店舗のみですが、オーガニック野菜の取扱いを始めたそうです。
オーガニックスーパーマーケット&デリバリー「ナヴダンヤ」
ヴァンダナ・シヴァさん代表のNavdanyaは有機作物の栽培にも力を入れており、ニューデリー、ムンバイなどではオーガニックスーパーマーケットの他、家庭へのデリバリーも行っているそうです。オーガニック食品がまだ気軽に手に入らないインドではうれしい存在です。
Navdanya
http://www.navdanya.org/organic-movement/organic-products
ニューデリー近郊のオーガニック農場「テジ ファーム」
インド駐在中の方のブログでよく紹介されている、ニューデリー近郊のオーガニック農園。通常の野菜はもちろん、海外では珍しい水菜やシソ、白菜が手に入るそうで、日本人の利用者が多いです。その為(!?)か、少し高めの値段設定ですが、安心料と割り切れる程だと思います。こちらの農場、通称ストロベリーファームと呼ばれる通り、インドでは珍しいイチゴが有名のようです。ここは、オーガニック野菜や果物を目の前で摘み取ってくれたり、味見も出来るとのことです。残念ながら時間の都合で行けなかったのですが、次回ニューデリーを訪れる際は是非行ってみたいです。
Tej Farm
Address: Farm No1, Sultanpur Farms, Gadaipur, Mehrauli, New Delhi
Tel: 011-26802877
化粧品
アーユルヴェーダに基づいた化粧品が圧倒的に多いインドですが、アーユルヴェーダ化粧品=天然成分使用、保存料、着色料、香料を使っていない、という傾向があるものの、オーガニック認証を得た化粧品は皆無でした。今後インドでオーガニックが浸透するにつれ、オーガニック認証をとったアーユルヴェーダ化粧品が誕生するのが楽しみです。
ヒマラヤ
インドを代表するアーユルヴェーダ化粧品と言えば、このヒマラヤ化粧品です。低価格かつ幅広いラインアップで、旅行中必ず目にすることでしょう。全製品100%天然成分とのことですが、オーガニック化粧品ではありません。アメリカ向けにはオーガニックラインOrganiqueを販売していますが、オーガニック認証を得ている訳ではありません。
Himalaya
http://www.himalayahealthcare.com/index.htm
オーガニックライン「organique」
http://www.himalayausa.com//Organique/allproducts.htm#skincare
フォレストエッセンシャルズ
インドの高級アーユルヴェーダ化粧品として最近大変人気が出ているのがフォレストエッセンシャルズ。女性創業者が2000年に趣味として始めた化粧品が、今やインドを代表するブランドになりました。それでも、工場で大量生産するようなことはなく、全製品が、空気や水がきれいなインド北部のリシュケシュ近郊の村で手作りで作られています。店舗ではアーユルヴェーダのコンサルティングが無料で受けられる他、オンラインでもお肌の悩みに答えてくれるようです。全製品ナチュラル成分を使用していますが、オーガニック製品とされているのはボディーオイルとソープのみです。こちらもオーガニック認証がある訳ではありません。
Forest Essentials
http://www.forestessentialsindia.com/why-forest-essentials
カーマ
インドの高級アーユルヴェーダ化粧品、カーマ。インドの最高級ホテルやスパで使われていて、また、欧米の雑誌でも取り上げられ、海外にも直営店を持っています。保存料、人工着色料、香料、等は一切使用せず全製品手作りで製品を作っています。パックなどの製品が粉状の理由として、「水を溶いてペーストやクリーム状にするということは、製品にするために各種の保存料が必要になってくるから」(Quadyホームページより)と徹底したこだわりを持っています。
Kama
http://www.kamaayurveda.com/
有限会社Quady(Kama日本総代理店)
http://www.quady.jp/
バイオティーク
スイスでバイオテクノロジーを学んだインド人女性が始めたバイオティーク化粧品。インド古来医学であるアーユルヴェーダと最新のバイオテクノロジー技術を駆使した商品を幅広く展開しています。100%ナチュラルなボータニック化粧品として、保存料、人工着色料、香料、等は一切使用せず、パッケージもリサイクル可能なエコ素材をしようしているそうです。しかしながら、どの国でもオーガニック認証は受けていないようです。
ジョニー ディップがパイレーツ オブ カリビアンの映画で、アーモンドオイルを使ったアイライナーを愛用していたそうです。本人からのメッセージがサイン入りでホームページに掲載されています。
Biotique
http://www.biotique.com/
シャーナズ フセイン
インドマダム御用達のシャーナーズ フセイン化粧品は、いくつか店舗を見かけたものの、敷居が高い感じがして入店すらしませんでした。調べてみると「唯一のインド政府公認アーユルヴェーダブランド」だそうで、エステサロンもフランチャイズ店を含め300以上持ち、欧米でも人気、とのことです。日本にも総代理店があり、日本でもかなり知られた存在のようです。原材料を見ると、着色料や香料が使われていることが多いです。
Shahnaz Husain
http://shastore.com/
シャーナーズ アーユルヴェーダ化粧品(シャーナーズ フセインの日本総代理店を務める松下トレーディングが運営のサイト)
http://www.shahnaz.jp/index.html