サスティナブルコスメティックサミットinアジア 盛況に終わる
アジアで最初のサスティナブルコスメティックサミットは、アジア太平洋地域から120の代表が集結し、大盛況のうちに幕を閉じた。このサミットは2011年11月7日、8日に香港で行われ、焦点となったテーマは、持続可能な化粧品に関するマーケティングおよび技術的な問題だ。議論の多くは、グリーンウォッシュ(環境配慮をしているように装いごまかすこと、上辺だけの欺まん的な環境訴求を表す)と消費者の混乱、収益性の高い中国市場、認証や環境に配慮した構造についてであった、とOrganic Monitorは伝える。
会議はComvita社のパーソナルケア製品部門のゼネラルマネージャー、Leigh Kite氏による「持続可能な未来を築く」と題されたプレゼンテーションで始まった。癌がニュージーランドにおける第二の死因とする公式の統計を引用し、Kite氏は環境中の化学物質に潜在的な責任があると発言した。Kite氏によれば、問題とされている化学物質が含まれていない点から、自然派化粧品やオーガニック化粧品こそが今後の方向なのだ。Comvita社は2007年から蜂蜜ベースの化粧品を販売しており、「人々を健康に保つ」を社のモットーとした彼女の会社にとって、心身の健康は重要な点であると述べた。
数多くの持続可能性に関する新たな取り組みが、「持続可能性の成功事例」と題されたサミット開会セッションで強調された。Organic Monitor社の会長であるAmarjit Sahota氏は化粧品会社に対し、単に欠点を減らすに留まらず、環境や社会的な地域社会に有益な効果を与えるよう促した。Rene T. Co氏は、Procter & Gamble社が持続可能性に対しどのような全体的な見通しを持っているかを 製品に対するライフサイクルアセスメント*を使いながら説明した。 2007年にアジアで持続可能性に関する計画を開始してからというもの、同社は二酸化炭素排出量を36%、固形廃棄物量を77%、エネルギー使用量を28%減らした。Procter & Gamble社はアジアで販売するPantene製品について、砂糖ベースのプラスティックの使用を拡大する予定だ。
BASFジャパン社のKano Juno氏は、「環境に優しい原料での製造」と題した2つ目のセッションを、自然派化粧品とオーガニック化粧品で使われる界面活性剤に関する論文とともに始めた。化粧品に使われる農産物原料の利用拡大とともに、AAK 社のJari Alander氏は主要な開発課題を強調した。Alander氏によると、化粧品の基礎原料は化粧品の原材料の中でも持続可能性に対し最も大きな影響力をもたらしており、中でも植物油は重要な役割を果たしている。
Seers Consulting社のAlain Khaiat博士は、アジア市場で、美白に効果のある自然原料の使用を視野に入れている考案者らが使える選択肢を発表した。コウジ酸、アスコルビン酸およびレチノールなどの成分が、どのように化粧品の中で美白要素になり得るかを説明した。続くセッションは、Croda社が議長を務め、自然派化粧品に関係する技術的問題についてのパネルディスカッションが行われた。討論は活発に行われ、パラベンに代わるもの、オーガニック化粧品に伝統的な中国の漢方薬を使用する可能性、また中国化粧品市場に到達する為にどのように動物実験を避けるか、が話し合われた。
3つ目のセッションである「マーケティングと流通の革新」でも、 討論が続いた。Jasmin Skincare社の共同創立者であるGordon Chalmers氏は、オーストラリア出身の当社がオーガニック基礎化粧品を中国人消費者にどのように売り出す事ができたかを説明した。市場参入の障壁を「中国万里の長城さながら」と表現しながら、彼の会社が中国市場に参入するにあたって、製品を再編成し、戦略を再考しなければならなかったと語った。彼は、国内産の食品の恐怖と不信の続発により、中国の消費者らが環境に優しいパーソナルケア製品に対しより高い価格を受け入れるようになったことからより大きな 可能性があると述べた。また、特に詐欺や詐称通用を例に挙げて落とし穴を強調した。Chalmers氏によれば、「知的財産は中国で通用するとは限らない」。
Himalaya Healthcare社のPrahallad Maddi Archana博士はアーユルヴェーダとアーユルヴェーダが使われた化粧品に関する説明を行った。Panpuri社の Lorievelle Valeriano氏はスパ施設におけるオーガニック製品の使用可能性について語った。Valeriano氏は、タイがスパの世界的メッカである事から、製品開発には最も適していると言う。マレーシアのオーガニック食品店チェーン大手であるJust Life社は、自然およびオーガニック美容製品の販売経験を発表した。同社は、全ての新商品を店頭に並べる前に、従業員に試させ、投票させていると発表した。
会議が開催される前には、Organic Monitor社により二つの対話型ワークショップが行われた。技術研究所長であるJudi Beerling氏は持続可能な化粧品にまつわる技術的また処方的な重要課題を強調した。界面活性剤、乳化剤およびパラベンの代用品についても、認証オプションとともに論議された。「自然派化粧品の国際市場におけるビジネスチャンス」と題した2番目のワークショップでは、主要な市場の動向と競争傾向について説明された。偽りの宣伝文句、偽装表示、また詐欺が多発している事について言及され、これらがアジアにおける自然派化粧品とオーガニック化粧品にとっての主要な課題であると示された。
基準がまだ確立されていないことから、ワークショップのリーダーらは小売業者に対し、純粋な自然派化粧品またオーガニック化粧品メーカーを吟味して選ぶよう求めた。売上は欧州および北アメリカ地方が圧倒的に多いが、アジアの自然派化粧品市場はより高い成長率を持っていると伝えられていた。競争力が増すにつれ、「後進市場」への新参者は、市場参入に関してより細かい手法をとるよう助言されていた。
*ライフサイクルアセスメント:製品やサービスに対する、環境影響評価の手法のこと。主に個別の商品の製造、輸送、販売、使用、廃棄、再利用までの各段階における環境負荷を明らかにし、その改善策をステークホルダーと伴に議論し検討する。(Wikipediaより)
出典: Organic Monitor
Sustainable Cosmetic Summit(英語)
Organic-Market.Infoより
(翻訳:ボランティア 越川 加奈子さん)