スコットランド政府が認めたオーガニック農業の利点
ソイルアソシエーションスコットランドは、2011年3月14日の「スコットランド・オーガニック行動計画」の開始を歓迎している。この計画によって、スコットランド政府は、オーガニック農業システムが環境面、社会面、経済面で与える好影響と貢献を認め、オーガニック産業に関与していく政府の意向を示したのである。
「オーガニックな未来:スコットランドにおけるオーガニック食品と農業のための行動計画」は、政府とオーガニック部門が手を携え、社会のすべてに恩恵を与える公共財を届けるための相互協力について、明確な枠組みを提供する先がけとなる。この報告書は、スコットランド政府とスコットランド・オーガニック・フォーラムとのパートナーシップにおいて、両者の合意に基づき、よく検討した過程で作成された。
ソイルアソシエーションスコットランドの戦略アドバイザーであるヒュー・ラーベン氏は、この計画について以下のように述べている。「スコットランド政府は素晴らしい声明を作成し、オーガニック食品と農業を支援していることに対して、祝福されるべきである。これにより、スコットランド政府はイギリス諸島各政府の先駆者となった。機会を逃してきた過去数年間とは対照的である。この間、同政府の助成が欠如していたために、(スコットランドの農家は)オーガニック生産をあきらめることを余儀なくされてきたのだ。この朗報は現議会の任期の終盤にもたらされた。したがって、今後の大きな課題は、今年5月以降に誰がスコットランドの首相になったとしても、この計画が設定した行動を実施していくと保障することである。」
2010年後半までで、英国のスーパーマーケットでオーガニック食品や飲料の消費に費やされた金額は、年間で9億4600万ポンド(約1237億5200万円)であり、スコットランドはそのうちの7%、6600万ポンド(約86億3400万円)であった。スコットランドでの売上の二大部門は乳製品と青果物であり、2010年の売上金額は実に3320万ポンド(約43億4300万円)となっている。さらに昨年の一年間で乳製品、ベビーフード、アルコール類の売上が伸びている。
近年では、オーガニックの鮭の売上が伸びており、現段階で需要が供給を上回っている。これはスコットランドの生産者たちにとって、明らかなチャンスである。一方で、もしスコットランドが、オーガニック鮭に見られるこのチャンスを掴むつもりなら、オーガニック規格の見直しの必要性が、数年の小休止のあとには必ず重要な問題となってくる。このことはスコットランドの食品飲料産業戦略の中心である、プレミアの付加と輸出戦略の両者と一致している。
Tio(This is Organics)社は、1998年3月にオーガニック野菜を売り出す目的で形成された会社で、オーガニックの根菜類のみに完全に特化しており、日用雑貨の小売り大型店テスコの供給者で、イギリスとスコットランドにある関連施設から英国全土に供給している。
地方事業と環境の閣僚であるリチャード・ロッチヘッド氏が、スコットランド・オーガニック行動計画の公式な開始のためにTio社を訪問した。
スターリング市にほど近い、ブリッジ・オブ・アランの町に本拠地をおく「グラハム家族牧場」は1939年に設立され、年間売上が4000万ポンド(約54億2600万円)以上あるスコットランド最大の独立酪農企業である。同社はオーガニックミルク(全乳、半脱脂乳、脱脂乳)、オーガニッククリーム、スコットランド・オーガニックバターやオーガニックアイスクリームなどの製品を市場に卸している。2010年に開始した「脂肪1%のオーガニックミルク」の売上げは、グラハム社の存在感をスコットランドとイギリス国内の両方で新たなレベルへと引き上げるものだった。(2010年に始まった1%オーガニックミルクは、初めは英国全土に店舗をもつセインズブリー・ストアを通して販売され、今では英国市場でのシェア第一位となっている)
出典:Source: Soil Association
Organic-Market.infoより
(翻訳:ボランティア 大畑 恵里さん)