フランス:オーガニック製品価格、大規模流通業者の力
パリ商工会議所付属ビジネススクール(Negocia)の教育研究者リオネル・ボボは、食料品の供給と調達に関する週刊誌“Les Marches Hebdo”のインタビューで、“オーガニック農業の思想”を、大規模流通チェーンとの製品取引の交渉に結び付けることの難しさについて改めて言及した。
リオネル・ボボは、大規模流通業とオーガニック製品の市場関係者との間で行われる取引交渉について詳細な調査を行った。そしてその調査から幾つかの重要な情報を引き出し、大規模チェーン店への納入業者を次の3つのタイプに分けた。:“純粋主義者(puristes)”(エコロジーの新たな挑戦を常に意識している人たち)、“ご都合主義者(opportunistes)”(オーソドックスな交渉関係を持っている)、そして大規模小売店向けと専門店向け流通の2つの特徴を区別し、それぞれ立場に応じ対応している納入業者“fournisseurs schizophrènes(※直訳すると分裂病的納入業者)”。
インタビューの内容は同様に、流通業者と納入業者に関係する流通プライベートブランド(以下MDD)の登場による影響についても言及している。オーガニック製品市場に於いて、MDDと個別ブランド製品との価格差は22%と、一般製品の価格差15%よりも大きくなっているため、“手ごろな値段の製品が豊富である”という概念とともに、大規模流通業者は値下げの問題から抜け出せないでいる。
ボボ氏によると、オーガニック農業の関係者が価格戦争に驚いていることは意外であるという。同氏によると、「資本主義の市場において、どのように代替市場を統合することができるかは、とても古典的な議論である。」さらに大規模流通業者は、一連のオーガニック製品の仕入れ交渉に対して、その考えを貫くだろう。そしてボボ氏は次の様にインタビューを締めくくった。「市場が拡大するにつれて、製品の大衆化や価格低下の傾向が現れ、市場はマス・マーケット化して行く… 数年前まで、製品価格を決める力はオーガニック製品の生産者の手にあったが、今やそれは大手流通業者側に戻りつつある。」
2010年2月から3月にかけ、6人の大規模流通業の購買担当者と6人のオーガニック製品の納入業者、計12人のインタビューを基に、「オーガニック産業に於ける納入業者‐流通業者:持続可能な交渉とは?”と題した調査が行われた。
Bio-Marche.Infoより
(翻訳:ボランティア 北村 公和さん)