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私の見たアメリカオーガニック vol.4:オーガニックファームウェディング

さて、今回はいよいよ旅の本題、友人のオーガニックファームでの結婚式について書きたいと思います。
10月の18日(日)、北カルフォルニアのメンドシーノ郡のOZ Farmというオーガニック農場で友人夫妻は式を行いました。サンフランシスコから車で約4時間。周囲には標識や街灯もほとんどなく、レッドウッド(北カルフォルニアを代表する杉科の針葉樹)が生い茂る、大自然の中の農場です。このメンドシーノという土地は、オーガニックや環境への意識が高く、北カルフォルニアの中でもオーガニック農家が多い土地だそうです。


もともと友人はワイナリーで式を挙げたいと考えていたのですが、ナパやソノマ(どちらも北カルフォルニアの有名なワイン産地。SFからは車で1〜2時間)はこの時期同じように式を挙げる人が多いらしく、どうしても空いているところが見つからなかったそう。そこで、思い切ってSFからずっと離れたところで、そしてどうせならオーガニックファームで式を挙げよう!と決意。インターネットで探してたどり着いたのがこの農場だったそうです。
OZ Farmはもともと60年代〜70年代、この地に移り住んだヒッピーたちのコミュニティーだったそうで、その後現在のオーナーがここを買い取り、現在はオーガニック農場として主に40〜50種類のリンゴを栽培しています。もちろんリンゴ以外の野菜も作っていて、農場近郊の商店やファーマーズマーケットに出荷しています。昔のコミュニティーの名残として、その当時建てられた建造物が現在もそのまま残っており、今では、農場の周囲に点在するキャビンは宿泊客やインターン生用の部屋に、さらにバーン(納屋)は体育館のようなパーティースペースに、台所も宿泊客用のキッチンにと利用されています。
また農場で使われている電気はすべて太陽光発電。すべての部屋に薪ストーブがついていて、人工的なエネルギーを極力使用しないよう、さまざまな工夫が施されていました。
今回の式は友人夫婦の意向で、ほとんど業者を入れない、本当の手作り結婚式。
野菜は以前にも書きましたEatwellから取り寄せたものをみんなで手分けして運び込み、肉や卵などもオーガニックのものを用意。ビールやワインの飲み物もすべて新郎とその友人たちがほとんど全部手作り(アメリカでは個人でもアルコールの醸造が許されているので)。その労力!とみんなのチームワーク、特に友人夫婦の行動力には、本当に関心するばかりでした。料理もはるばる駆けつけてくれた新郎新婦の家族や親戚、友人たちみんなで用意。前日までの準備のほとんどや、式の神父役まで友人(詳しくは分からないのですが、なんでもアメリカでは神父の資格がインターネットで(!)取れるらしいです)と、本当に友人たちと家族の協力がなければ、絶対にできないウェディング。
私は式の前々日からこちらに泊まらせてもらったのですが、夜はキャビンに泊まり、昼はみんなで落ちているリンゴを拾ってアップルサイダーを造ったり、天然釜で手作りピザを焼いたりと、にわか農場生活を楽しませてもらいました。ちなみに痛んでしまったリンゴも、農場の近くで飼われている豚たちのとてもいい飼料になるそうです。
肝心の式は、みんなの努力の甲斐あって、とても温かく、終始笑顔の耐えない、素晴らしいものとなりました。森の中で行われた式は本当に幻想的で、一瞬異空間にいるような錯覚さえ覚えました。式の後はみんなで持ち込んだ食材を使って地元のシェフが作ってくれたディナーにスピーチ、そして夜はバンドの生演奏によるダンスパーティー。
アメリカでは現在こうした手作りのファームウェディングが若者を中心に人気を集めているそうで、友人たちが式を行う予約を入れた直後、このOZ FarmにNY Timesから偶然取材が入り、見事友人夫妻も記事に取り上げられました。

OZ Farmでは結婚式以外にも、宿泊客やインターンの受け入れ、一般に向けての様々なワークショップなどを行っています。日本でもこうした活動を行う農場が今よりもっと増えていけばいいと心から感じました。アメリカのポジティヴな面をたくさん見ることができた今回の体験は、私個人にとっても本当に貴重なものでしたし、日本の農村においてもきっと参考にできる、重要なヒントがたくさん得られたと思います。
OZ Farm HP:http://www.oz-farm.com/

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