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シンプルな生き方について考えるーアーミッシュの暮らしから学ぶ

シンプルな生き方って、なんでしょう。

電気を使わず、電子レンジ、家電も、スマホや携帯も、車もない生活。夜の灯りはガスランプ。冷蔵庫は、冬に凍らせた氷をいれた戸棚。そんな生活、想像できますか?

そんな生活を送るアーミッシュ。元々はオランダやヨーロッパから来た宗教団体の移民で、ペンシルベニア ダッチを話し、近代の技術を使用することを拒み、自給自足の生活をし、独自の教育システムを持つ、アメリカに住みながらも、「アーミッシュ」としての誇りと自覚を持って生きる人々です。

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移動は馬車

シンプルな暮らしのヒントを得るために、ウィスコンシンの中でも大きなアーメッシュコミュニティを訪ねました。直接話を聞いてみたくて、道中に見つけた「蜂蜜売ってます」の看板があったアーミッシュお家を訪問。そこで出会った彼は私達に彼らの暮らしのこと、その思いについて、色々と話してくれました。

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道中にすれ違った馬車に乗ったアーミッシュの女性

宗教的理由から、車を運転すること、電気の使用、電話を持つことなどが、禁止されており、 現代のアメリカでも、馬車を使い、夜はランプを使い、冬に作った氷を使って冷蔵庫として使 う生活をしています。

便利な生活を優先する技術の使用を拒むもので、ルールはコミュニティによっても違うみたいです。
アメリカ人と同じ場所、隣に住んでいても、その暮らしぶり、見ている世界は、まるで違うこと、改めてアメリカの多様性に驚かされます。全く異なる文化に囲まれながらも、自分の文化に誇りをもち、継続させるその変わらぬアーミッシュの信念に、同じマイノリティとして、尊敬の念をいだいてしまいます。

アーミッシュのお店に停まる私達の車とアーミッシュの馬車

アーミッシュのお店に停まる私達の車とアーミッシュの馬車

聞いたことはあっても、実際に見た事、会った事がなかったアーメッシュの人々と、その暮らし。なだらかな丘が美しいこの土地でアーメッシュのお家で直接色々と話を聞けたことは、と ても貴重な経験でした。

なだらかな丘が続く美しい土地

なだらかな丘が続く美しい土地

便利や早さが重視される社会

考えてみると、とても多くのものが電気や最新のテクノロジーの恩恵を受けていて、それなしでは、私達の生活はとても違ったものになることに気がつきます。例えば暗くなったら点ける 電気や、洗濯機、電子レンジ、コンビニエンスストア、冷凍食品等。その全ては、このアーメッシュコミュニティでは、縁のないものです。

アーミッシュの彼は、テクノロジーを使うことや加工品を使うことは、人と人の直接の交流や つながりを断ち切り、人々を孤立させてしまうと言います。
確かにそうかもしれません。

アーミッシュの隣のファームで出会った羊の親子

アーミッシュの隣のファームで出会った羊の親子

「便利」が最優先の暮らしではなく、「大切なもの」が一番大切にできる暮らし。
機械やテクノロジーの発達によってもたらされた便利な生活や、コミュニケーションの仕方。メリットとデメリット、両方あるような気がします。

広大な土地で自由に草を食むロバ達。

広大な土地で自由に草を食むロバ達。

シンプルな暮らしと継続することの難しさ
アーメッシュの彼によると、彼らのようなシンプルな暮らしを求めて、コミュニティに入りたい、車や携帯のない暮らしがしたい、と言い、実際に機械や電気に頼らない生活をはじめる人 がご近所さんでもいたそうです。
一時はいいけれども、続けるのが難しく、断念した人がほとんどだとか。

アーメッシュのコミュニティで生まれ育った彼は、「ずっとこの方法だったから、今更面倒とも何も思わない。それが、私達の生き方だから、ただ今の日々を生きる。」と。

その言葉から、アメリカでも著名なライターである、Michael Pollanがある講演で言っていた、「本来、家事や料理をすることは、面倒なものや時間を無駄にしているものではなく、楽しくて、素晴らしいものだ。」と言っていたことが思い出されます。
そんな彼らの生活は、閉鎖的なコミュニティから生じる問題や、同じ宗教同士でしか結婚ができないことと、宗教人口の少なさから、親族での結婚も多く、
遺伝的な病気や問題も深刻で、 良いところだけ、とは言えないのが現状でもあります。

それでも、彼らはその生活を今日も淡々と続けています。

日々の全てのことに、動物や人との「交流」、「つながり」がある暮らし

彼は、アーメッシュにとって、「馬」は欠かせないもので、家族であると言いました。

さらに、馬は運転をしている人の心の動きにもとても敏感で、手綱を伝って、その不安な気持ちや高ぶりが、伝わってしまうそう。

家族でもある馬を紹介してくれた彼

家族でもある馬を紹介してくれた彼

馬主の心が動けば、馬も不安になり、動けなくなる。
さらに、育て方やしつけ方によっても、馬はまったく異なる性格を持つようになると言いました。
実際に馬も見せてもらいましたが、案内してくれた彼の人柄からも感じるような、ゆったりとしたおおらかさと力強さを持つ、とても穏やかな雌馬でした。
きっと、大事に育てているのでしょう。
生活の全ての側面に、「つながり」があることが分かります。移動するにしても、家事をするにしても、動物や、家族や他のコミュニティとコミュニケーションを取る必要がある生活。
さらに、この銀色の風車。

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ただの飾りではなく、実は井戸から水をくみ上げるもの。
この風車がある家は、アーメッシュのお家であることが多いです。

どんな風に「暮らしたい」のか「生きていきたい」のか 

シンプルな生き方、そしてそれを継続していくことの難しさを感じましたが、でもその「難しさ」は私達の思い込みや、「便利さ」への過度の期待や慣れからきているものかもしれません。

シンプルだけれども、時間のかかる生活の中に、喜びや、意味を見出すことができれば、自分にとっての心地良い生活は継続できる。

新しい暮らし方のヒントを見つけた気がしました。

不便だからこそ、手間のかかったものだからこそ、それが得られたときにある、「特別な喜び」。

いつもじゃなくても、少し時間が取れる休日には、ゆっくりとコーヒーを淹れたり、料理したり、メールより、手紙を書いてみたり、実際に会いにいってみる。「つながり」を大切にする暮らし。

そんな小さなことの積み重ねから「心地よい暮らし」は作れるものかもしれません。

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「また戻っておいでね」と朗らかな笑顔で答える彼に、私達は、「もちろん」と答えました。
メールや電話番号の交換はできませんが、必要ないのです。
また、来ればいい。会いにこよう。そう思いました。
密に連絡できないけど、だからこそ増幅する、久々に会ったときの喜びがあるでしょう。
今は私達のいるところで、リアルなつながりや、目の前のことを大切にしながらより丁寧に生きる。

便利さが一番ではなく、「つながり」を大切にできる日々をおくる。
そんなことができたらいいな、少しづつ変えていきたいな、と思った日でした。

Aki S. Norton

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