オーガニック食品:ヨーロッパ・オーガニック部門のさらなる発展促進のための新規定
2007年6月12日、EU農相はオーガニック製品と表示に関する新規定について、政治的合意に達した。これにより、農業関係者、消費者双方にとってより簡素化された規定となる。新規定は目的、原則、そしてオーガニック生産に関する基本的な規則といった一連の内容と、さらには永続的な輸入管理体制、より一貫した輸出管理体制をも含めた包括的なものを目的としている。EUのオーガニックロゴの使用が義務化される予定だが、国の定めるロゴ、ないし民間のロゴも合わせて使用できる。
製品が生産された場所について消費者に明示しなければならない。最低でも原料の95%がオーガニック食品でなければ、オーガニックのロゴを付けることは出来ない。しかし非オーガニック製品でもオーガニックの原料を使用していれば、原材料表示には記載可能である。遺伝子組み換え食品(GMO)の使用は引き続き禁止。一般にGMO不使用製品について、EU内で認可されたGMOが偶発的に混入してしまったという主張が認められる上限である0.9%以下という基準は、オーガニック製品にも適用される。オーガニック農業で認可されている物質のリストについては変更はなし。新規定ではまた、オーガニック養殖、ワイン、海藻、酵母などの追加規定の原則を定めてもいる。この修正された新規定の第二部では、新たに加わる追加規定とともに、既存の厳しく詳細にわたる規則が新しい規定へとそのまま移行される。
農業地方発展委員のフィッシャー・ボーエル氏は言う。「この望ましい合意により、消費者はEU全体のオーガニック製品の識別がより楽になります。さらに自分たちが購入するものについて確かな品質の保証を得られます。オーガニック食品は成功し、成長中の市場です。この新しい一連の規定により、市場の需要とヨーロッパの農業関係者たちの企業家精神とのつながりを通じて、現在の発展が今後も持続していくような枠組みが提供できるよう願っています。」
新規定の内容は次のとおり:
・オーガニック農業の目的、原則や生産のルールをより明確にすると同時に、地域的な状況と発展の段階を柔軟に捉える。
・目的と原則は、オーガニック畜産、水産、植物、オーガニック食品、飼料製造といったあらゆる段階にも等しく適用されることを確証する。
・GMO規定を明確化する。特にGMOをオーガニック製品に使用することを厳しく禁止し続けること、また認可されているGMOの偶発的な含有量0.9%以下という一般的な基準値を、オーガニック製品にも適用すること。
・意図的でない0.9%の基準値を上回るGMOが含まれている場合でも、オーガニック製品として販売から除外されていない現状(法の抜け道)を取り除く。
・国産のオーガニック製品にEUロゴマークの表示を義務化する。但しこれはオーガニック製品の「共通したコンセプト」の向上が目的なので、国家ないし民間のロゴと併せて使用できる。
・EU基準よりも厳しい民間の基準を禁止しない。
・少なくとも95%のオーガニック原料が含まれる食品だけがオーガニックと表示出来る
・非オーガニック製品はオーガニック原料の場合、原材料表示にのみに記載することを許可する。
・レストラン・食堂部門は現時点では含まれないが、2011年にEUレベルでの再検討の結果が出るまでの間、加盟諸国でこの部門の取り締まりを望む国がある場合、許可される。
・あらゆる食品と飼料に適用されるEUの公的な検査システムと一律にすることにより、リスクに基づいた検査方法を強化し、検査システムを改良する。但しオーガニック製品に適用される特定の検査は維持を続ける。
・新しく恒久的な輸入管理体制に着手する。EU圏外の製品に関しては、EUの生産者と同様、またはそれに匹敵する条件のもと、EU市場への輸出が許可される。
・どこで製品が作られたかの表示を義務付ける。それにはEUロゴマークの付いている輸入品も含まれる。
・オーガニックの水産、ワイン、海藻、酵母に関する追加規定のための基礎を創る。
・オーガニック製品に認可されている物質のリストには変更はない。新しい物質の許可を得るためには要望の発表、また例外を決定するため中央集権型システムを必要とする。
・旧規定から新規定へと移行されることになる詳細な規則の基となるものは、特に物質リスト、検査規定やその他の詳細なルールなどである。
2005年にはEUの25の加盟国内で、約600万ヘクタールの土地がオーガニック農地であった(転換中も含む)。これは2004年と比べ2%の増加である。同時期、オーガニック生産者数も6%増加している。