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母なる大地を守る必要性−初のヨーロッパ土壌地図帳発表

土壌は、環境・経済・社会・文化といった無数の機能をもっており、生物の多様性を守っていく上で、また地球全体の生態系システムを支えていく上でかけがえのない役割を果たしている。土壌は生きているシステムであり、一度破壊されると二度と元には戻らない。住宅やインフラ建設が密接に関係している土壌浸食、汚染、土壌内微生物の減少、地すべりや洪水などはすべて、人類が今後も存続していくための基盤となる資源の劣化を引き起こしているのである。
そういうわけで、欧州委員会はこれが初めてとなるヨーロッパの土壌地図帳を作成した。


それは土壌を脅かしているものについて描き、説明するためであり、その多様性と私たちの生命にとってどれだけ重要であるかという認識を高めるためである。この地図帳は、例えば2005年末を期限に欧州委員会が進めている「土壌保護に関する主要戦略」提案といったような、ヨーロッパの土壌を保護していくために打たれる活動に貢献することになるだろう。
この地図帳を導入したPotocnik委員は「私たちは土壌というものがどれだけ生物多様性に貢献しているかということについて、完全に過小評価しています。しかしもし、土壌を良い状態で守っていけなければ、まもなく、最悪の方法でその重要さに気付くことになるでしょう。つまり、土壌を失うことによって引き起こされる問題を目の当たりにして、ということです。この土壌地図帳のようなツールは、政策担当者が土壌を保護する手段を考えるとき、計り知れないほど貴重な助けとなるでしょうし、公衆にとってはその重要性の認識を高めることになるでしょう。」と話している。またStavros Dimas委員はこれを補足して「ヨーロッパの土壌はとてつもなく価値あるものですが、限りある資源です。将来的な食料保障や環境の質を確保するには、保護することが必要なのです。」と述べた。
なぜ、土壌を保護する必要があるのか?自然の生きているシステムであり、人間の活動や生態系機能になくてはならないものだからである。土壌は、途方もなく長い時間をかけて形成されてくるが、いったん公害や集中的な都市化、あるいは不適切な農業や林業の実施などにより破壊されると、現代の私たちからも、未来の世代からも事実上失われてしまうことになる。このような状況を考えた結果、欧州委員会は、40以上の国々の土壌研究所から専門の科学者達を集結し、初めての「ヨーロッパ土壌地図帳」の作成を進めてきたのである。これらの科学者達はすべてヨーロッパ土壌事務所ネットワーク(European Soil Bureau Network)を代表する人物である。この地図帳は、非常に精度の高い土壌地図と独自の写真が添えられたわかりやすい文章で構成されている。これは、欧州委員会によって開発されたヨーロッパ土壌情報システムに基づき、それは欧州連合全体とその周辺国をカバーしている。地図帳では、主な土壌の機能を詳述し、地図に描くことで、土壌劣化の過程と人間の健康や安全への脅威との複雑な関係を例証しようと努めている。また同様に、ヨーロッパ中の主な土壌への脅威についても議論している。ヨーロッパの土地は、農地として生産性が高いが、大陸には同様に広大な自然あるいは半自然の大地があり、そこで土壌は生物多様性を保持し、地球全体の生態系システムを支えるのになくてはならない役割を果たしているのである。
さらなる情報については、下記をどうぞ。
http://www.jrc.cec.eu.int/soil-atlas

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