vol.18 オーガニックの秋祭り
秋はお祭りのシーズンです。これは、日本でも世界各国でも共通。やはり収穫を祝うところからきているのでしょう。私が毎年訪れている農場の近くでも、10月の最初の週末にはお祭りがあります。少し特徴的なのは、それがオーガニックのお祭りであるということ。最近では、フランス各地でもオーガニックに限定したお祭りもずいぶん増えてきましたが、ここは既に10年以上にもなるのでかなり歴史もあります。
基本的な形はマルシェと同じです。
地元のオーガニック生産者が集まって、小さな村の通りという通りを全て埋め尽くすほどのスタンドが出ます。村や県から補助金が出るのか、出展するためのスタンドの費用は1mあたり5ユーロ程度。机やパラソルも無料で借りることができます。野菜や果物、加工食品を売る店。すぐに食べられる軽食やお菓子類を売る店。そして石けんやエッセンスオイル、オーガニックコットンや工芸品などの店もあります。今年、私の働く農場の娘たちは、ケーキとその場でゆでたトウモロコシを売る店を出しました。ケーキはもちろん全てオーガニック材料を使った自家製で、前日は準備で朝から晩まで大騒動でした。一番苦労したのが値段つけ。これだけオーガニックの材料を使っているのだからこれぐらい、から始まって、たくさんの人に相談し、自分が街中でケーキを買うならいくら払うかな?と考え、最初の値段の約半分で落ち着きました。
そして当日。毎年出店している人が多いのか、皆さん手馴れた様子でどんどんスタンドを作り上げています。テーブルに布をかけ、パラソルのもとで商品を並べていくだけなのですが、布の色や飾り、パネルやイラストなどの飾り方、工夫がいっぱいなされていて、どのスタンドも本当に個性的です。普通のマルシェと違うのは、全てがオーガニックであること、そして環境に配慮した製品やそれを推進している団体、また手作りの工芸品を作っている職人さんなどのスタンドもあることです。また、時間を区切って中央のテント下で講演会が行われたり、ピエロによる出し物などもありました。子どもだけではなく、大人も十分に楽しい見世物です。
このあたり一帯に住んでいる人々は、毎年この週末を本当に楽しみにしています。年中行事として、とても大切な位置を占めているのです。それはただお祭りだというだけでなく、生産者と消費者が一緒の時間を過ごせるから。地元にどんな生産者がいるのか、どこでどんな風に作っているのか、直接話ができるから、なのだと思います。
こんな小さな単位から、地方、国、世界まで。 オーガニックへの関心は明らかに高まっています。