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米国:サステナブルフードサミット、サプライチェーンのより高い効率性を要請

第3回を迎える北米版サステナブルフードサミットが2013年1月22日から23日にかけてサンフランシスコで開催された。食料のサプライチェーン(供給網)における効率性の改善が、計160人以上にのぼる食品業界の役員らが集まったサミットを通じて際立ったメッセージであった。数多くの講演者が、食品の生産、流通、消費における非効率性を強調した。サミット参加者らの共通した意見は、集約的な生産方法は、増え続ける地球人口を養うための唯一の解決策ではない、というものだ。持続可能な農業こそが、食料製品の環境的、また、社会的負荷を改良する役割を持っており、食品廃棄物の削減により、食料の安全確保を改善する他、供給ベースを増やし、食料インフレを減らすことができる。

開会式の基調演説の中で、ジャーナリストのジョナサン・ブルーム氏は、食料生産にかかる目に見えないコストについて強調した。ブルーム氏によると、農業は10%の石油資源、45%の土地資源、80%の水資源を使用している。「道徳的な無神経さ」とブルーム氏が表現するのは、人間の消費目的で生産された食料の3分の1が廃棄される一方、15%以上のアメリカ人家族が十分な食料を見つけるのに苦労をしているという事実だ。Food Waste Reduction Alliance(食料廃棄削減同盟)のエイミー・カークランド氏は、埋立地は食料廃棄物にとって最後の手段であるべきだ、と述べた。資源の減量、飢えた人に食料を与えること、動物に食料を与えること、工業目的の使用、堆肥化は、埋立地行きよりも望ましい道である。しかしながら、現在では、食料廃棄物の3分の2が埋立地に向かい、環境問題および社会的問題に発展している。Bon Appetit Management Company社は、同社が、商品のサイズやメニュー自体を変更することにより、どのように食料廃棄物の量を減らしているかを説明した。同食品サービス業者は、飢える人々を養う為の食品回収プログラムも立ち上げた。Whole Foods Marketは、中央ゴミ廃棄システムを持たずに(同社で発生する)食料廃棄物を堆肥化する。自然食品及びオーガニック食品を取り扱う同小売店は、廃棄物管理のインフラは食料廃棄物管理プログラムにとって不可欠である、と述べた。

 

スーパーマーケットのPublix社からは、Michael W. Hewett氏が、持続可能性に取り組もうとすると小売業者は「数えきれない程の競争要素」を組み入れなくてはならない、と言った。彼が「変化は必然」と考える理由は、人類集団が現在与える環境負荷は地球の1.3個分であるのに対し、90億人のニーズに応える為には地球3個分が必要になるからだ。Hewett氏は、この先これらの難問に対処するために急進的な革新と協力を要請した。食品のサプライチェーンが持続可能性の機会の80%をもつことを考慮すると、主に食品のサプライチェーンへ着目するべきだとした。国連グローバル・コンパクトと国際フェアトレードラベル機構(FLO)は持続可能な農業を強調した。新しいフェアトレードのゴールド基準とともに、認証会社である FLO-Certは、小規模農家が二酸化炭素相殺プロジェクトを立ち上げるよう働きかけている。この新しいプロジェクトは、小農地が持続可能な農業および森林再生プロジェクトに取り組むと炭素クレジットを得るという仕組みだ。

 

サミット2日目は、世界のエコラベル付き食品及び飲料市場についての最新情報のやり取りで始まった。Organic Monitor(サミット主催者)の会長、Amarjit Sahota氏によると、食品についているエコラベルの数が急増しているという。食品につけられた複数のロゴやラベルによって、消費者による持続可能な食品の購入を抑止してしまうのではないかと警告した。「ラベル疲れ」を克服するため、Ethical Bean Coffeecompany社はQRコードを自社商品に付け、消費者の要望に応じた多量、あるいは、少量の情報を得られるようにした。 カナダの同社は、取り扱うグアテマラの持続可能なコーヒーに倫理的仕入れプロジェクトを立ち上げている。

 

地元産の食品がますます注目を浴び、アメリカでは地域密着型農業の数が増えている。Local Harvest社のLiz Young 氏は、彼女の論文の中で、それらのプロジェクトが農家やその地域にプラスの影響を与えていると強調した。遺伝子組み換え食品を示すラベルの動きも、アメリカでは支持を得てきている。Non-GMO Projectによると、 Prop 37(遺伝子組み換え作物への表紙義務付けの是非を問う法案。2012年11月6日にカリフォルニア州で投票が行われた)がカリフォルニア州議会で通過しなかった理由は、低予算と消費者の混乱であった。しかしながら、Courtney Pineau氏は、 提案された法案は、今年予定されている選挙活動の上昇に伴い、「知る権利」の動きへの原動力となったと確信している。

 

食品産業の持続可能な発展に関する新技術の影響についてが最終セッションのテーマであった。Room214の創立者、ジェームス・クラーク氏は、 消費者がソーシャルメディアによってより「つながって」いるのに対し、環境への「つながり」はまだ少ない、と解説する。これを「ソーシャルメディアの闇の側面」と表現しながら、持続可能な製品のためのソーシャルメディア通信において、より一層の透明性を奨励した。他の論文は、モバイル通信、オンライン配信、今までにない製造方法、食品認証ツールについて取り扱った。食品業界での詐欺事件が増えているのを踏まえ、Global ID社は食品の起源、種や品質を検出するために、化学物質のフィンガープリントの使用について説明した。

 

第三回目を迎えるこの北米版サミットは、食品業界における持続可能性とエコラベルに関するより広範囲にわたり多様なテーマを取り扱った。サミットからは新たな問題が多く浮かび上がった。「食品産業をより効率的にするためにはどのような実用的な方法を使えるか?」、「埋立地の転用、及び/あるいは、食品回収プログラムのためのインフラを改善するためには、どのようなステップを踏むことができるか?」、「ゴミを出さないシステムのための食品廃棄物と食品の副産物からのイノベーションを奨励するために何ができるか?」、「これから先、新技術はエコラベルとサプライチェーンにどのような影響をもたらすか?」、「エコラベルは増え続けるのか、また、合理化されるのか?」など。これらの問題に関しては、将来行われるサステナブルフードサミットにて言及されるだろう。

 

Organic Monitor主催のもと、サステナブルフードサミットの目的は、高レベルのフォーラムで、業界の主要な問題を議論することにより、食品産業における環境ラベルと持続可能性のための新たに視野を広げることである。2013年1月22-23日にサンフランシスコで行われた北米版は、国際レベルのサミットとしては7つ目となった。サミット資料は有料にて入手可能。より詳しい情報についてはwww.sustainablefoodssummit.com 参照のこと。

 

次のサステナビリティサミットについて:

2013年5月16日から18日までニューヨークで行われるサステナブルコスメティックサミットと、2013年6月6日から7日にアムステルダムで行われる欧州版サステナブルフードサミットがある。

 

出典:Organic Monitor

Organic-Market. Infoより

(翻訳: ボランティア 越川 加奈子さん)

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