金融機関はグリーン経済のエンジンだ
グリーン経済の柱は、まず意欲的なドナー(資金提供者)がいて、それから適切な資金拠出戦略が実施され、そこで初めて確立される。UNEP (国連環境計画)の「グリーン経済報告書(Green Economy Report)」によれば、サステナビリティと資源保護に基づく、より環境に優しい経済に向けて抜本的な転換を実現するには、世界のGDPの2%の投資が毎年必要だ。
ところが、依然としてサステナブルでないプロジェクトに多額の金がつぎ込まれている。このようなプロジェクトのほとんどは近視眼的な利益を目的に計画され、その行為が生態系や社会に及ぼす影響についてはまったく考慮されていない。
これを是正するために、UNEPは早くも2003年に民間金融部門の機関とのグローバル・パートナーシップを開始している。それから約10年を経て、現在では銀行、保険、証券会社を含むグローバルセクターから200以上の金融機関が、UNEP金融イニシアティブ(UNEP FI*1)に署名参加している。このイニシアティブの目的は、金融部門が提供するサービスに環境保護とサステナビリティを融合すること、そしてグリーン技術への投資を促進することだ。UNEPによれば、大きな変化を起こすには世界のGDPの2%が必要になる。
KfW*2の関連会社であるドイツ投資株式会社 (DEG) は、金融機関がどのようにサステナブルな取り組みに投資し、それと同時にお金を稼ぐことができるかを示してきた。DEGは、発展途上国や新興国において起業家的な取り組みにコミットしており、環境的・社会的基準を順守するこのイニシアティブの業績は、地元で実施される開発政策にプラス効果をもたらしている。エジプト初の「ソーシャルビジネス」として知られるSekemは、DEGとのかかわりを通じてオーガニック農業市場のナンバーワンとなり、2000人を雇用するまでになった。Sekemの最高経営責任者Helmy Abouleish氏とDEGのManuela Marques氏の両人は、国連都市のボン市で今年11月27~28日まで開催されるサステナビリティ会議「SusCon 2012」において、自分たちの経験について話す予定だ。
*1 国連環境計画・金融イニシアティブ (UNEP FI) はUNEPとおよそ177の世界各地の銀行・保険・証券会社等と広範で緊密なパートナーシップ。1992年の設立以来、経済的発展と環境保護の両立や持続的発展について、多数の金融機関と積極的に情報交換を行うとともに協調して活動を行い、さまざまな業務やサービスにおいて環境への配慮を取り入れることを進めている。また、気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)などの政府間交渉の場でも活躍している。
*2 KfW (ケー・エフ・ダブリュー): 復興金融公庫。ドイツの国営金融機関。第二次大戦後の1948年設立。東西ドイツ統合後には主に旧東ドイツ地域の産業経済の復興のために出融資を行い、その後は開発途上国援助と海外投資を重視するなど、時代に即した機動的融資を実施。本部はフランクフルト。
出典:SusConプレスリリース
Organic-Market.Infoより
(翻訳:ボランティア 大畑 恵里さん)