アルゼンチン: 2011年オーガニック・データ公表:面積減少、輸出増加
この度、初めてアルゼンチンの最新情報が英語で入手可能となった。この分析結果は、アルゼンチン農畜産品衛生管理機構 (SENASA)全国理事会のエコロジー製品調整室が承認する認証機関からの情報提供に基づき、2011年オーガニック生産の動向を提示するものとなっている。
<分析の基礎となった指標>
作物群別と州別の収穫面積、生産単位の分析、畜産と1州あたりの分配、貿易分析、海外市場 (輸出、製品群と目的地)、国内市場
収穫面積は2011年分に相当するが、同時期に認証されていなかった商品も含まれている可能性がある。輸出品に関しては2011年に認証されたものだが、その前年に収穫された量を含んでいる可能性がある。
◆この分析結果が示す一般的傾向は以下の通り:
・ オーガニック商品の主な輸出先は依然としてEUと米国
・ 輸出活動レベルの回復は、主として米国市場の需要によると見られる
・ 国内市場におけるオーガニック園芸産物の消費が増加
2011年は、植物性商品の輸出量が著しい増加を見せ、史上最高記録に達した。一方、動物性の商品群はというと、著しい増加を見せる羊毛を除いて減少している。認証を受けた農地面積は2010年と比較して25%、畜産面積は7%とそれぞれ減少。畜産牛は再び減退、牛の数は過去12年で最少となっている。養羊も減退、さらに養蜂でも認証されたミツバチの巣箱数が10%の減少を示した。
◆収穫面積
収穫面積には、工芸作物、アロマ用ハーブ類 、野菜、豆類、果物、穀類、オイルシードなどの収穫面積を含む。2011年は、オーガニック作物のための収穫面積が2010年と比較して6%減少した。作物群別の数字では、工芸作物が前年と比べて22%と急激な減少を示し、2008年に始まった登録以来の減少傾向が続いている。残りの作物群は前年と比べて変化は小さい。
2011年の耕地面積 (64,540ヘクタール)は過去5年の平均以上だった。ブエノスアイレス州は最も高い成長率を示し、35,000ヘクタール以上、これは年間のオーガニック収穫面積としては最大値であり、同州は依然としてオーガニック作物の主要生産州である。リオネグロ州の収穫面積は2010年と比較して減少しており、エントレ・リオス、サルタ両州の収穫面積も継続して下降線をたどっている。前年同様、主要オーガニック作物は、穀類とオイルシードで、工芸作物がそれに続いた。
◆生産単位
2011年、オーガニックシステムに登録している農場数が再びマイナスに転じ、前年比8%減である。農場数の減少はほとんどの州で記録されている。ミシオネス州のオーガニック農場経営者の減少は87人と著しいが、それでも同州は依然として多数の経営者を有している。経営者数の著しい低下を示す別の例は、ブエノスアイレス州で10%減 (22人)となっている。全国レベルでの認証を受けている農場の平均規模は2010年のそれと同様で、前年と同じく一つの州当たりの詳細は均一でない。注目すべきは、認証を受けているオーガニック耕作面積と農場経営組織全体の面積の比率が94%だったことだ。
◆認証を受けた畜産の土地面積
畜産関連の面積は前年と比べて7.5%減だった。この減少は、農場内のオーガニック認証を受けた畜産面積の減少に加えオーガニックへの移行段階面積の減少(移行段階において、認証を取ることなく脱退した)その証拠に、環境保全型の畜産面積がほとんど変化していないのに、移行中の土地面積で37%の減少が認められた。
◆ 動物由来商品の量:
輸出品では、動物由来の主力商品が19%減少で、ウールトップを除くすべての商品が影響を受けている。ウールトップの輸出は前年比の300%分増加している。
◆商品の市場
オーガニック認証を受けた商品の主な行き先は依然として海外市場、特にEU、米国、スイスであり、他にもロシア、カナダ、エクアドル、ノルウェー、オランダ領アンティルなどが顕著になってきた。植物生成品のEUへの輸出は16%増。EUは植物由来商品の輸出先の48%程度を占め、依然として主要な輸出先だが、そのパーセンテージは下降線をたどっている。
EU内での主要輸出先は、オランダ、ドイツ、イギリスで、最も主要なオーガニック輸出品は果物、工芸作物、オイルシード、野菜である。米国向け輸出も前年比で増加しており、大きな輸出量 (47%増)のため、全体量の29%以上に達している。米国向け輸出の主要産物は加工された植物生成物、オイルシード、果物だ。スイスへの輸出が倍増 (128%増)したため、前年比で相対的な関与が増えている。他の市場向けの輸出量は24%増、輸出先でのアルゼンチン産商品参入の維持を可能にしている。
◆国内市場
前年同様、国内市場では豊富な種類のさまざまな生鮮製品 (野菜と果物)が売られた。しかし、オーガニック農産物売り先としての関連はほとんどなかった。
◆2011年特徴の要約
2011年、アルゼンチンのオーガニック生産の特徴は以下の通り:輸出増加、なかでも米国向け輸出が高く伸びた。しかし、EU加盟国が依然として主要な買い手である。植物由来商品群が果物に相当する輸出最大量を占めた。すべての植物を考えた場合、西洋ナシ、蔗糖、リンゴ、小麦、オーガニック大豆の輸出が大きかった。2010年に比してすべての商品群、特に穀類とオイルシードの輸出が増加。植物由来のオーガニック商品中、最も高度成長が見られたのは、穀類(小麦とメイズ)と果物(西洋ナシとリンゴ)だった。一方で、豆類の輸出は急激に減少している。
動物由来のすべてのオーガニック商品の輸出では、ウールトップの売上げが著しく成長したが、残りの商品は減少した。動物由来の商品全体では19%下落。収穫面積は2010年に比べて7%減だが、過去10年間では3番目に高い数字だった。穀類とオイルシードに関しては、小麦と大豆に相当する最大収穫面積となった。米、蔗糖、ぶどう、オリーブの収穫面積では著しい低下が見られた。畜産面積は主として放牧面積の縮小によって6.6%減少した。穀類、オイルシード (パン用小麦と大豆)、果物 (西洋ナシとリンゴ)、野菜 (玉ねぎ、ニンニク、かぼちゃ)および加工製品 (砂糖とワイン)など、輸出取引量の大きいオーガニック商品の相対量に変化はなかった。
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使用された分析手法についての留意点
1998年以来使用されてきた分析方法に準拠し、最近公表された本報告書の目的は、2011年のアルゼンチンの認証オーガニック生産の状況の概要を提供することだ。米国標準 (USDA-NOP)のみを満たした米国向け輸出製品は含まれておらず、記載していない。しかしながら、アルゼンチンと米国標準の両方を満たしている製品は含まれている。
出典:Organic-world.net
(翻訳:ボランティア 大畑 恵里さん)