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米国とEUが締結したオーガニック認定基準同等性協定への批判

英国の畜産動物福祉団体「コンパッション・イン・ワールド・ファーミング」は、欧州連合(EU)が米国のオーガニック規定である「ナショナル・オーガニック・プログラム」をEU自身のオーガニック認定基準と同等のものと承認したことに懸念と失望を表明した。同団体が報告する通り、現状では、動物福祉に関する米国のオーガニック認定基準はEUの基準よりもはるかに低い。

ところがEUの公式文書では「米国とEUのオーガニック認定基準には若干の違いがあるものの、両者はそれぞれのプログラムに関して、抗生物質使用禁止の点を除いて相互に同等であると判断した」と述べられている。

しかしこれは事実に反すると「コンパッション・イン・ワールド・ファーミング」は指摘している。米国の基準には、EUではオーガニックと認められないものがあるばかりでなく、動物福祉の観点から違法の可能性のある要素も含まれているからだ。米国の基準には動物福祉に関する詳細な規定が欠けている。例えば、米国ではカモの飼育に水浴びが義務化されていない、飼育中に慣習的に行われる体の部分的切断処置(断尾、くちばし切除など)が禁止されていない、動物の種類を問わず飼育密度に関する規定がないといった問題がある。

動物福祉についての重大な懸念に加え、この協定にはEUのオーガニック農業従事者がEU市場内での競争力を失うというリスクも伴う。EUが動物福祉の基準をEU自身の基準と同等と認め、しかし実際にはその基準がはるかに緩いものである場合、EUの農民はその緩い基準に沿った安価な生産物のために損害を被る不安定な立場におかれると、「コンパッション・イン・ワールド・ファーミング」は報告書で指摘する。同団体CEOのフィリップ・リンベリーは、「今回のEUの判断には疑問をもっている。この新しい合意は消費者に深刻な誤解を与えるものでもあるからだ。消費者がオーガニックの畜産品を安全に購入できるのは、動物の福祉が高い水準で守られているとの理解があればこそだ」と述べている。

出典:コンパッション・イン・ワールド・ファーミング

Organic-Market.infoより

(翻訳:ボランティア 池田 真紀さん)

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