Biomonde:122の小売店が集まる組織
ドイツで自然食品店の集まりが1つの組織として協働するということが議題にあがるようになったのはつい2008年のことだが、フランスではこのような形の連携は長い間行われてきた。その一つの例がBiomonde(オーガニックな世界の意)である。近年特に、この独立した小売店の連携がより活発になり、結果として現在フランス全土に122のBiomondeメンバーが存在している。2009年の末までには150の専門自然食品店やオーガニックのスーパーマーケットが加わると予測されている。以下は、Organic Market.Info取材チームがパリ地区の小売店を訪れたときの報告。
ルノー ジル=ナーヴ氏は「私たち組織の第一の目的はサプライヤーからより好ましい価格で購入できるようになることです」と説明する。35歳のジル=ナーヴ氏は、パリの西40キロメートルに位置するイル・ド・フランスの小さな町ウーダンで最初に売場面積350平方メートルの小売店「Escale Bio(エスカル・ビオ)」をオープンした。5000人の住人と周辺地域にさらに15,000人が住むウーダンの町は、パリ地区の人々というよりも、むしろ田舎の人々を相手にオーガニック製品を供給するという特徴がある。ジル=ナーヴ氏は、Biomondeはパリで知られているだけなく、フランス全土に存在感を示しているのだという。
ウーダンの郊外約1kmの静かな工業地域というロケーションにも関わらず、彼のオーガニックスーパーはその優れた品揃えで毎週1000人もの顧客を集めている。たくさんの種類の果物、野菜、乳製品や乾物の他、シャツや下着・子供用くつ下などのエコ織物製品(写真)、ペットフード、粉洗剤や液体洗剤(持参した容器に詰めて買える)、自然化粧品、オーガニック種子、そして住宅・ガーデニング・環境に関する本を買うことができる。2008年、ジル=ナーヴ氏は彼のオーガニックスーパーの粗利益で7%の成長を記録し、5人の従業員を雇っている。町の中心に店舗を構えなかったことについては、「私たちの顧客の多くは1週間分の買い物をしに店に来ていて、駐車場が必要なんです」と答えている。「町の中心は小さく、たくさんの狭い路地があって駐車する場所を見つけるのは難しいのです。」
Escale Bioと20台分の駐車場の向かいにはジル=ナーヴ氏が2006年に立ち上げたオーガニック建築店がある。この店ではソーラーシステム用の温水タンクのモデルやヘンプマットの屋根・壁断熱材(写真左)、自分で混ぜ合わすことのできる自然塗料、豊富な品揃えのアウロ社のオーガニック塗料を扱っている。1500平方メートルの面積の中に販売スペースと事務所があり、そこにすべての商品も保管されている。「十分な顧客を得るまでにはかなり長い時間がかかりましたが、それは当然のことです」とジル=ナーヴ氏はいう。既存のコンクリートを使った建物とエコ建築法を用いた建物では大きな違いがあるので、新しい建物をたちあげ・運営し、扱う自然建築材料を決めるには2、3年の計画期間がかかる、と氏は付け加えた。彼は現在、オーガニック建物事業においても十分な注文を受け、顧客の反応にも満足している。「私たちは今、フランスの12件のオーガニック建物会社とのネットワークを作っている途中で、今後一緒になって更に大きな成果を生み出せると期待しています。」と彼は未来を見据えて語る。
食品部門について言えば、Biomondeを通じて購入すると、サプライヤーにもよるが、5〜10%の割安な価格で仕入れができる。ジル=ナーヴ氏は約70の製造者から商品を仕入れており、彼らの強みはサプライヤーの種類の多さにあり、それが幅広く魅力的な品揃えにつながっている、という。彼はまた、地域のサプライヤーを出来る限り多く取り入れ、彼らに販売機会を提供することにも熱を注いでいる。「私の両親たちは食ビジネスをしていて、祖父はよい品・よい製造者の見つけ方を教えてくれました。」
Escale Bioに納入するサプライヤーの3分の2以上がBiomonde協会のメンバーであるが、製造者を採用するかどうかの最終的な基準は品揃えの種類である。Escale Bioの主なサプライヤーは卸店Bonneterreで、Distriborgグループに属してる。ジル=ナーヴ氏は、協会は経済的な利益をもたらすだけでなく、政治的なレベルにおいて自分たちを代表している、という。彼は、自分のアイディアが、農業省における従来型取引の支配に対抗している様を見たいと思っており、彼にとって専門家分野が際立つことは地方市場を促進する上で重要なのである。パリ東部ランスにあるBiomonde本部のエステル・フランシェは「私たちが一緒に働きたいと思う卸売業者が4つあります」と説明する。これらの業者はBiomodeの店舗だけと取引を結ぶことに興味をもっているメンバーである。
2009年の終わりまでに新しくBimondeへの加入が予測される30店舗のうち、半分が新規開業、もう半分は既存事業になると予測している。加盟店の販売面積は50平方メートルから600平方メートルである。少なくとも150平方メートル以上の販売面積を持つ店に加盟してもらおうとしている、とエステル・フランシェは付け加えた。
Bimondeは1991年、エリック・モローとカトリーヌ・リュローによって設立され、最初はBiophare(ビオ・ファール)と呼ばれていた。最初は非常にゆっくりと発展していき、1990年台の終わりでは,20のメンバーしかいなかった。しかし、マーケティングの予算がないにも関わらず、2007年の終わりにはメンバーは95になり、2009年の4月には122まで増えた。
インターネットに公表されているグループの粗利益は7100万ユーロで、販売面積は24,500平方メートル、店舗の従業員は360人である。(2008年末)最初のころ、Biomondeは店舗間の緩やかな組織であったが、約1年前に「可変資本株式会社」として小売業協会BIOMONDE SOLIDARITEが設立された。加盟に興味のある事業者は北、西、南の3つの地域代表と連絡をとることができる。Biomondeは統括組織FCAのメンバーであり、FCAは125の小売業協会からなる73のグループの代表である。
参照URL:
http://www.escalebio.comwww.escalebio.com, www.biomonde.fr